被災地に新しい息吹栄村(長野)に農民組合誕生
昨年3月11日の東日本大震災の翌日未明、震度6強の長野県北部地震が栄村を襲いました。今年5月23日、その栄村に農民組合が誕生しました。準備会事務局から「現在確認されている組合員数は25人(世帯)です」と報告されると、参加者の中にはニッコリとうなずく人、安どの表情を浮かべる新役員。村の世帯数900、農家戸数550の村で目標の20世帯を超える入会者となりました。
復興はこれから
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結成総会に集まった組合員のみなさん。前列左3人目から前村長の高橋彦芳さん、組合長の山本一郎さん、副組合長の石沢正さん、事務局長の広瀬進さん |
その中身は、TPPや税金の学習会、産直とともに、復興に被災者の声を反映させるための“つどい”を開くことや、米の普及のための第一歩として「誰もが使える食味計の設置」、柏崎・刈羽原発から50キロ圏内の栄村での対策と、当面「放射能測定器の購入」などを要求しています。こうした取り組みは、個々の農家のさまざまな要求やつぶやきを取り上げる運動であり、農家と村民が主人公となって草の根から復興を進める運動にもなります。また、新役員は「農民組合を結成して運動を進めることが、これまでの全国からいただいた支援の恩返しになる」と決意を込めて語っていました。
この企画は、TPPの内容をつかむとともに、TPP参加は復興の妨げであり、村を復興するにはどうしたらよいのか、その道筋をみんなで学び語り合うことを目的にしたものです。
雪解けとともに田畑の復旧作業が始まっています |
また、講演に先立って前村長の高橋彦芳さんが「栄村農民組合物語」と題したプリントを参加者に配り、お話ししました。実は、高橋さんは1962年2月に栄村農民組合を結成したとき事務局長をされていました。当時は、公民館の主事をしながらの活動だったようです。組合員43人で結成し、その後「栄村農民組合の作風は、1人の問題をみんなで追求すること」を柱に活動し、農業問題に限らず村民生活の幅広い問題が取り上げられた結果、組合員が105人になったことなどが、具体的に紹介されました。
「1人の問題をみんなで追求する」というお話は、今後の私たちの運動におおいに示唆を与えてくれるものとなりました。
要請文では、「福島第一原発の過酷事故はいまだ収束せず、事故原因は未解明で…、その不十分さや機能不全があきらかになった安全基準や原子力規制の枠組みは、事故前となんら変わっていません」「貴職が国民の不安を省みず、『政治決断』の意向を強く表明されたことに抗議し、再稼働断念を強く要請します」としています。
[2012年6月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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