旬の味
初夏を迎え、大阪・南河内でも田植えが終わり、農家のお母さんたちはなにわ伝統野菜の栽培に忙しい▼そのひとつ「毛馬(けま)きゅうり」は、“手間”きゅうりといわれるほどに手間がかかるが、「そりゃもう、この味を知ったら!」と作り手を駆り立てる▼なにわ伝統野菜の栽培が盛んな河南町に法華寺という室町時代から続くお寺がある。この高台から見える家すべてが檀家(だんか)だ。ただ、お寺と檀家のつながりは法華経だけではない。農と食でつながっている▼毛間きゅうり、玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)、勝間南瓜(こつまなんきん)、水茄子(なす)など、旬の野菜がお寺に届けられる。それをお寺の奥さんが腕をふるって調理する。漬物にするのもあれば、農家のお母さんたちと料理してみんなで旬の味を楽しむ▼かつては当たり前の習わしが、今では珍しいといわれるそうだ。どこのお寺でも調理場の大なべがあくびをしている▼使ってくれる人がいてこその生産の喜び。毛間きゅうりに手間もかける。 (中)
(新聞「農民」2012.6.4付)
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[2012年6月]
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