“TPP考えよう”意見交換会
東京 市民団体よびかけで開催
政府代表も参加して
建前の答弁に不満の声
TPPへの参加問題について市民と政府との意見交換会「TPPを考えよう」が5月22日、東京都内で開かれ、210人が参加。3時間を超える意見交換会となりました。アジア太平洋資料センター(PARC)や日本国際ボランティアセンター(JVC)など8団体で実行委員会を作り、118の市民団体が賛同。市民団体の呼びかけで開かれたのは、はじめてです。
まず有識者側から、東京大学大学院教授の鈴木宣弘さん、「食政策センター・ビジョン21」の安田節子さん、JA長野厚生連佐久総合病院の医師、色平哲郎さんが、TPP参加に反対の立場から、農業、食の安全、医療などの分野について意見を述べました。次に政府側から、内閣官房の黒田篤郎審議官らがTPP参加に向けた各国との協議状況や21分野の交渉内容について説明しました。
その後、内閣府大臣政務官の大串博志衆院議員(民主党)も加わって、政府と市民との意見交換が行われました。そのなかでは、「参加するかどうか決めるために情報の収集をしているというが、アメリカから自動車や保険、BSEなどで規制緩和するよう求められているではないか」「関税を完全に撤廃するTPP参加と食料自給率50%目標の達成は正反対の政策であり、自給率向上は不可能ではないか」「TPPに参加すれば、生協が組合員に独自に定めている食の安全基準は違反するのか」「相手国のある外交交渉だからすべての情報を公開することはできないというが、どこまで秘密にするのか」など、多数の質問や懸念する意見が出されました。
これに対して大串政務官らは、「TPPに参加したときに何が求められるのか、情報を収集しているところ」「国民の理解を得ながら、国益にかなうかどうか判断して参加を決める」「食料自給率の向上など食糧安全保障の問題や、食の安全の確保、国民皆保険制度を守ることは国益だ」などと建前の答弁に終始。会場からは「説明になっていない。もっと具体的に答えろ」などと不満の声も上がりました。
実行委員会では6月9日に、大阪でも同様の意見交換会を行います。
(新聞「農民」2012.6.4付)
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