「農民」記事データベース20120528-1022-12

旬の味


 会津若松駅から「SLばんえつ物語」号に乗って、蔵とラーメンの街、喜多方へ行く。シュシュポッポと力強く前へ進む蒸気機関車。その吐き出す黒煙が、田植え間近の水面に溶け込んでいくようだ▼昨年8月、原発事故による風評被害で、丹精込めて作った自慢の桃が大暴落した。そのとき「負けるな!」という応援メッセージが農家のもとに全国からたくさん届けられたという▼食べてもらえない悲しみの涙、その悲しみを思ってくれる温かい涙、それに感謝するうれし涙。そんな涙の物語を込めて、桃の果汁と地酒をブレンドしたリキュール「桃の涙」が、大和川酒造やJA新ふくしま、サガデザインシーズなどの協力で3月に誕生した▼喜多方駅から「歴史ロマンの道」を歩いていくと、「桃の涙」を生産している蔵元「大和川酒造」に出合える。町おこしを引っ張ってきた社長の佐藤弥右衛門さんは「こんなときだからこそ」と復興支援に一役買って出た。「桃の涙」は、ピリッとしていてほんのりと甘かった。

(あ)

(新聞「農民」2012.5.28付)
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2012年5月

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