私もTPPに反対です
全建総連都連連書記長 田口 正俊さん
建設国保の崩壊、外国人に
仕事奪われ、死活問題だ
全国建設労働組合総連合東京都連合会(全建総連都連=東京土建など15組合、約14万人で組織)では、2月と3月に「TPP参加に慎重な対応を求める学習会・国会要請行動」を行い、それぞれ約100人の組合員が参加しました。学習会では、民主党の国会議員などから、アメリカの真のねらいや韓米FTAの問題点などについて講演を聞き、そのあと国会議員に、公共事業の入札基準の変更や海外企業の参加による低価格競争、地域建設業者の受注減や外国人労働者の参入による失業・低賃金化に対する懸念などを要請しました。
高い医療費だと病院に行けない
TPP参加によって、医療保険分野では民間医療保険の拡大、混合診療の全面解禁が行われるのではないかと心配されています。これは、国民皆保険の崩壊につながるものです。私たち建設職人はかつて、健康保険制度の適用から排除され「ケガと弁当は手前持ち」といわれるような無権利状態の下に置かれていました。そこで「建設職人にも健康保険を」と大運動を行い、いまの建設国保を設立しました。
建設職人は病気になればその日の収入を得られません。有給休暇もなく、仕事を休めば即収入減です。そのうえ高い医療費が掛かれば病院に行くこともままなりません。建設国保があることで病気になっても安心して病院に行くことができます。ところがTPPは、こうした公的な医療保険制度を改変させるものです。
低賃金労働者が外国からドッと
それから、かつては外国人労働者がちらほら見受けられるという程度でしたが、最近では中国人労働者などがひとかたまりで大勢見られるようになっています。また熟練した技能労働者が激減しており、現場を掛け持ちしている状況です。そこで大手住宅企業などでは、賃金の安い中国人に技術研修をさせようとしており、まさにTPPの先取りです。
また、公共事業の入札基準を引き下げて、外国企業の参入をうながそうというのがTPPですが、韓国では外国企業が参入すると外国人労働者もつれてくるため、韓国の労働者は仕事を失っています。こうしたことが日本でも起こるでしょう。また、地域経済の要である農林水産業の衰退は、私たち建設労働者にとっても仕事がなくなり大問題です。
これからも学習会や国会議員要請を続けていきますが、ぜひ広範な団体や個人とも連帯して、なんとしても野田首相のTPP参加を阻止したい。
(新聞「農民」2012.5.28付)
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