分析センターだより
多くのカンパと応援に励まされて
農民連食品分析センター 所長 八田純人
高性能装置で検査開始
原発ゼロの社会めざし
4月23日、待望のゲルマニウム半導体検出器による検査を開始することができました。高い性能を発揮するこの装置の稼働は、原発事故と対峙(じ)し、食糧主権を掲げる運動を進めていく上で、とても大きな意味があります。
配備にあたり、多くの方々から寄せていただいた募金、そしてなによりも温かい応援の声に励まされました。募金の郵便払込用紙に書かれた数行のメッセージに込められた思いに元気をいただきました。本当にありがとうございました。
原発事故後、「分析センターならなんとかしてくれるはずだ」―そうした声をたくさんいただきました。しかし、機器による分析しか測定手段がない放射性物質汚染には、ぼう然とするしかありませんでした。つかみどころのない冷たい暗幕のようなものが、生産者、消費者、流通事業者におおいかぶさろうとしている状況を前に、私たちに打つ手がなかったこと。あの恐ろしさは今でも忘れられません。
そんな機器の入手すら困難な昨年、私たちは8月に1台目、10月に2台目のNaIシンチレーションスペクトロメータを配備し、農産物検査と環境汚染調査に取り組むことができました。スタッフが力を合わせて測定してきた検体数は、3200を超えています。
「食と農を守るとりでとして設立された食品分析センターの役割を果さなければいけない」、そういう思いで検査を進めてきました。しかしその一方で、検査態勢の立ち上げや実務に追われ、十分な情報を発信することができずにいたことをおわびしなければなりません。ここまでの道のりは本当に長いもので、さまざまなドラマがありました。そうしたひとコマひとコマをみなさんとも共有しなければと考えています。いまだ検査の現場は慌ただしいのですが、これからも現場からの報告を随時お届けしていきます。
農民連食品分析センターは、ゲルマニウム半導体測定装置の分析開始に伴い、放射能や農薬分析などの検査料金を改定しました。詳しくは食品分析センターまでお問い合わせ下さい。TEL 03(3590)5660(FAX兼用)
食品分析センターへ稼働始めた機器を見学
農民連食品分析センターに高性能の放射性物質分析機器、ゲルマニウム半導体検出器を導入するにあたって、多大な支援をしたフランス労働総同盟(CGT)のメンバー2人が4月27日、分析センターを訪れ、稼働を始めた分析機器を見学し、意見交換しました。
来訪したのは、CGTエネルギー労組のパスカル・ランボレーズさんとブリュノー・ブランションさん。CGTと友好関係にある全労連の寺間誠治政策総合局長らが同席しました。
分析センターの八田純人所長は、「ご支援に感謝します。性能があまりによいので驚いています。今後、放射能汚染から農家と消費者を守るうえで活躍できると思います」と述べました。
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八田所長(右)から説明を受けるブランションさん(手前)とランボレーズさん(その左) |
CGTのブランションさんは「稼働を始めてうれしく思います。理想が現実になりましたね。放射能汚染から国民を守る運動に役立ててほしい」と期待を語りました。
さらに「今後、データの交換などいっそう交流を深めていきたい」と提案したのに対し、八田所長は「これからも放射能汚染と向き合っていかなければなりません。栽培方法や食べ方などに生かせるデータの蓄積は必要です。交流はありがたい提案です」と応じました。
(新聞「農民」2012.5.14付)
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