「農民」記事データベース20120430-1019-12

旬の味


 ナスやトマトの育苗が始まり、畑作業も畝立てや除草など春の遅い信州でも農繁期が始まった。今年はなかなか暖かくならず、苗の伸びも雑草の伸びもゆっくりのようだ▼こういう年は無理に温度をかけて苗齢を進ませてしまうと、天候不順によって定植が延期になった時に徒長(とちょう)苗や老化苗になってしまって初期生育が悪くなる。初期生育が悪いと、その後の管理がすべてその修正に費やされることも少なくない。これでは収量も品質も良い結果には結びつかないだろう▼確実な収穫が得られること、おいしく品質の良い農産物を目標に、そこまでの道のり全体をとらえて、今日や今週の農作業に最善を尽くすことが肝要だ。その視点に立てば、季節の進みが遅いなら、苗の育つペースを基準に栽培を組めば良いことになるのだが、往々にして人間は目先の見た目にとらわれた選択をしてしまう▼異常気象の時代だからこそ、中・長期間を見据えた栽培技術、自然や作物の生育を良く観察して得た知恵ある農業をめざしたい。

(綿)

(新聞「農民」2012.4.30付)
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2012年4月

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