たたかいはこれから
ひきつづき支援を
JAL不当解雇撤回裁判の乗員原告団団長
山口 宏弥さんに聞く
日本航空(JAL)による不当解雇の撤回を求める裁判で、東京地裁は3月29日に乗員(パイロット)に、30日には客室乗務員に対し、“解雇は有効”とする不当判決を下しました。原告団は控訴し、たたかいの場は東京高裁に移ります。JAL不当解雇撤回裁判の乗員原告団の山口宏弥団長に、今後のたたかいについて聞きました。
解雇自由な社会許さず
空の安全めざして
解雇された労働者の苦しみ無視する判決
今回の地裁判決は不当極まりないものです。まず、整理解雇の4要件(注)を無視し、裁判官の主観的な判断を織り交ぜながら、財界・企業に顔を向けた判決そのものです。労働裁判でありながら、解雇された労働者の経済的な、そして精神的な苦しみに思いを寄せていません。
また、安全な運航のためには年齢や経験が必要ですが、ベテランの乗務員を真っ先に切り捨てたことについて、「ライセンスがあれば経験は関係ない」とまで言い放っています。
さらに、会社の「更生計画」があれば、いかなることがあろうと解雇は自由ということになります。JALの経営破たんは、放漫経営、空港乱造という航空行政の誤りが原因であり、不当解雇は、政府とJALの責任を労働者に転嫁するものです。
判決は、不当でひどいものであることが明白で、その分、労働者が団結し、たたかいやすい条件にあると思います。不当解雇と不当判決の実態を広く知らせ、他の業種の労働組合や、さまざまな団体に呼びかけて、国民に根を張った運動を全国で展開したい。
物心両面にわたる支援に心から感謝
農民連さんには、一昨年の解雇直後から、物心両面にわたるご支援をいただき、乗員、客室乗務員の原告一同、心から感謝しています。特に東北地方の方々からは、お米やリンゴを送っていただき、困難なときにどれだけ勇気づけられたことでしょう。農民連さんとの交流を通じて、「農民連を初めて知った」という原告が多くいます。
私は長男で、実家はかつて、栃木県鹿沼市で稲作と畜産(和牛)を営んでいました。従って、TPPによる農業への影響に深い懸念を覚えます。空の安全を無視する今回の整理解雇と、食の安全を脅かすTPP。どちらも国の政策によるものであり、根っこは一緒です。
たたかいはこれからです。引き続くご支援をどうか、お願いいたします。私たちも、解雇自由な社会を許さず、安全第一と公共性重視の日本航空の再建をめざして、法廷の内外で力いっぱいたたかっていきます。
〈激励先〉 日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議 TEL 03(3742)3251、FAX03(5737)7819
(注)整理解雇の4要件 (1)解雇しなければ企業の維持・存続ができないほどの必要性(2)解雇回避の努力(3)対象となる労働者の人選が合理的(4)労働者に十分な説明をして納得を得る努力
(新聞「農民」2012.4.30付)
|