「農民」記事データベース20120423-1018-19

旬の味


 優しく頬(ほお)をなでる風に季節感が漂う。「旧暦の3月はもう一度めぐってくる。今年の寒さはこの閏(うるう)月のせいだ」。年を重ねた先輩に聞かされる▼自然は時として過酷な試練をもたらすが、人の心を携えて営みが繰り返されてきた。日本列島を吹きぬけた暴風は、各地に甚大な被害を置き去りにした。原発事故の被災地でも、母屋の瓦や土蔵の屋根、納屋の塀が飛ばされた。除染を終え、新たな思いで再起を期したパイプハウスも無残な姿に変えられてしまった▼しかし復旧は早い。心をひとつにつなぐ農村ならではの良き慣習は途切れていなかった。破れたビニールを張り替え、傾いた鉄骨の修復に応援が続く。地域のあたたかさを目のあたりにした▼水うるむこの季節、政治の風だけがわめくように真冬の寒さを吹き付けてくる。野田首相が命をかける大飯(おおい)原発の再稼動、消費税増税、TPP参加は亡国への誘導と言えよう。いてつく政治を溶かすのは、われわれの熱いたたかいでこそと、農作業の手に力を込める。

(啓)

(新聞「農民」2012.4.23付)
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2012年4月

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