「農民」記事データベース20120423-1018-03

原発事故賠償金は非課税に

賠償金は不十分だ
課税は農業再開の道閉ざす


農民連が財務省と交渉

 農民連は4月6日、国会内で財務省と交渉し、福島・原発事故による東京電力からの損害賠償金に対して非課税にするよう要請しました。福島と茨城から駆けつけ、実情を訴えました。日本共産党の大門実紀史参院議員が同席しました。

 東電からの損害賠償金について、現行の所得税法では、精神的苦痛や資産の損害に対する賠償金は非課税ですが、風評被害や出荷停止などへの賠償金は、事業所得の収入金額とされ、課税対象になっています。

 福島・浜通り農民連の三浦広志さん、杉和昌さんらは「原発から20キロ圏内で営農していたが、農地や機械を奪われ、別の地域で再開するために8000万円が必要なのに、賠償はその数分の一にすぎない。計算上は『営業損益』かもしれないが、生活と生産を奪われ、多大な精神的損害に対する賠償であり、資産に加えられた損害の一部だ」「戻って農業を再開したり、別の場所で始めたりするのに資金が必要だ。損害賠償金は不十分だが、そこに課税されたら、再開できない」などと訴えました。

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「損害賠償金は非課税に」と要請する農民連の参加者。右端は大門議員

 また、大門議員も「所得税法は、平時のものであり、国の責任が伴う大事故の損害賠償を想定したものではない。安住淳財務大臣も『どういうことができるか考える』と答弁している」と指摘しました。

 農民連の笹渡義夫事務局長は「国策に基づく事故への損害賠償であり、国が何らかの救済措置を図るべきだ」と迫りました。

 交渉後、参加者は、財務金融委員会に所属するすべての衆参両院議員の事務所を訪問し、「賠償金は非課税に」と要請しました。

 大門議員と懇談

 財務省との交渉に先立つ大門議員と農民連との懇談で、大門議員は「『賠償金を非課税に』という声はまだ小さい。政治を動かすには、地元から声をあげ、広げていくことが大事だ。こちらも他党議員に呼びかけて、議員立法などを考えたい」と述べました。

(新聞「農民」2012.4.23付)
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2012年4月

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