被災地の命つなぐ心のリレー
山田町(岩手)に毛布と建築道具運搬
東京土建練馬支部 阿部 弘明さん
東京土建練馬支部はこれまで2回にわたって建築の道具を集めて被災地へ送りました。今年に入ってから、「仮設住宅は寒い」と被災地から聞いた仲間が、「毛布がたくさんあるので」と持ってきました。そこで組合でも「毛布を送ろう」と呼びかけたところ、2月末までに200枚ほど集まりました。さっそく3月2日に、毛布と建築道具でいっぱいのワゴン車で岩手県花巻市へ向かいました。
生きるため懸命に
農民連女性部長の久保田みき子さん宅へ電話すると、「漁民組合が道の駅へ出店するのでそちらで相談しよう」ということに。道の駅では漁民組合副組合長の佐々木安教さんが「漁民たちの要求は強い。船があってエンジンだけ援助してといっても国は認めない。組合をつくって要求している」と話し、とても喜んでくれました。ところが、「ここでは荷物を降ろせない」「山田町の佐藤照彦さんのところがいい」ということになり、農民連の岡田現三さんの案内で約2時間半、被災地を視察しながら三陸沿岸にある山田町に到着。この日は津波の犠牲になった同級生の一周忌の法要がおこなわれていたとのことで、黒い服でひげのやさしい顔の佐藤さんがニコニコしてあらわれました。
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佐藤照彦さん(左端)に毛布を手渡す阿部さん |
毛布と道具でいっぱいになった施設の会議室で、佐藤さんから「せっかくの命だから、これから犠牲者を作らない」「一人ぼっちを作らない」などの取り組みを聞きました。「国や自治体の不十分な支援では、これからも二次被災者が出てしまう」「仮設住宅での暮らしは一人ぼっちのお年寄りにとっては寒いし、孤独で夜がつらい。津波を思い出して眠れない」。また「仮設に入っていない在宅避難の方にはまったく支援の手が届かない」など、行き届いていないのが実態のようです。そんななかで、生きるための必死の取り組みが続いていることに逆に励まされました。
今後どんな支援が
東京にもどってから、岩手の農民連のみなさんから「みなさんの支援が被災地の命をつないでいる」とお礼が届きました。また、佐藤さんからも「毛布を配って喜ばれている」「道具は仮設住宅の棚を作ったり、使いよくするのに役立っている」と電話をいただきました。
おみやげに、漁民組合の漁師が手釣りで捕ったという大きな鱈(たら)を道の駅で買いました。職場のみんなでおいしい鱈汁を食べながら、これからどんな支援ができるか考えました。
(新聞「農民」2012.4.9付)
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