「農民」記事データベース20120409-1016-04

12年度の畜産物価格決まる

食肉・子牛価格“据え置き”

厳しい経営反映されず不満の声


 食料・農業・農村政策審議会の畜産部会が3月22日に開かれ、2012年度の畜産物価格が決まりました。

 バターや脱脂粉乳など加工原料乳の生産者補給金単価は、昨年より25銭引き上げられ、1キログラムあたり12円20銭、その対象範囲となる限度数量は183万トンとされましたが、豚肉・牛肉の安定価格や肉用子牛の生産者補給金の保証基準価格などは「据え置き」とされました。これは、厳しい経営状態の続く畜産農民の、悲痛ともいえる引き上げ要求に、まったく背を向けた決定です。

 昨年は、原発事故により福島県や茨城県で原乳の出荷停止が相次いだため、本来加工用に向ける北海道産の生乳の一部が飲用に向けられたことから、加工原料乳は限度数量にも達しないなど、生乳の需給はひっ迫して推移してきました。

 一方、配合飼料や原油の価格は高騰が続いており、厳しさを増す経営状況から畜産農家の離農が増加。

 また、原発事故の影響で牛肉の卸売り価格も暴落が続いており、肉用子牛の価格も低迷しています。

 審議会では、青森県・常盤村養鶏農協(日販連加盟)の石澤直士会長や北海道農協中央会の飛田稔章会長など生産者の委員から、「畜産の実態や消費者動向などを反映した価格となるよう、算定方法や制度自体を見直すべき」「北海道では毎年200戸の酪農家が離農している。生産者が希望の持てる体制が必要だ」といった意見が相次ぎました。

 また、TPP交渉への参加を懸念する委員も多く、日本乳業協会の古川紘一会長などから「日本の畜産に大きな影響を与えるTPP交渉が不透明ななかで、今の制度設計で安定供給できるのか」「TPPの内容が国民に知らされていない。国民的議論を尽くし、拙速に参加を決定するべきでない」などの意見が上がりました。

(新聞「農民」2012.4.9付)
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2012年4月

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