被災農民の生の声
フランスに届けたい
フランス取材チーム 福島を訪問
3月6日から15日まで、福島第一原発事故後の農民の声を届けるドキュメンタリー映画を製作するため、フランスから4人の取材チームが日本を訪れました。
(農民連国際部 武田伸也)
原発の多い国の私たちだから
チームリーダーのオリビエ・フロレンさんは、フランス南東にあるヴォクリューズ県の副知事であり、同県唯一の「緑の党」の議員でもあります。また、同県のブドウ農家、ルホン・セオドアさんは、ビア・カンペシーナの加盟組織であるフランス農民同盟の会員でもあり、フロレンさんとは遺伝子組み換え作物に反対する運動に取り組んでいます。ほかに、環境科学ジャーナリストのカミーユ・サイセさんとカメラマンのカリーン・ムシックさんも同行しました。
ヴォクリューズ県周辺には多くの原発があります。フロレンさんは来日の理由を「原発の多いフランスに住む私たちも、常に原発の危険と隣り合わせに暮らしています。福島の事故からいろいろ学ばなければならないのですが、現場の声がまったくフランスに届きません。そこで私たちは、少ない貯金をはたいて日本に行くことを決めた」と語っています。
|
右からカミーユさん、ルホンさん、フロレンさんからたすきを渡された桜井市長、フロレンさん。桜井市長は「今度、マラソンに出る時はこのたすきをかけて走る」と約束 |
農民連と食品分析センターへ
3月9日には農民連本部と農民連食品分析センターを訪れ、東電への損害賠償請求や放射能検査など、震災後の農民運動の大きな前進に驚いていました。
また11日から福島入りし、「原発いらない県民大集会」にも参加。柿の木の除染作業をしていた親子に偶然会って話を聞いたり、原発近くの浪江町や福島市の酪農家、果樹農家などを訪れました。14日には、汚染土壌仮置き場や浜通り農民連の事務所を訪れ、南相馬市の桜井勝延市長とも面談。特に、事故直後の政府のひどい対応の話を聞いたフロレンさんらは、“信じられない”といった様子でいろいろと質問していました。
あまりに大きな事故とわかった
取材を終えて、フロレンさんは「福島の原発事故は、いくら取材をしてもすべての声を集めることができないほど、あまりにも大きな事故だということがわかりました。短期間の取材で残念でしたが、今回の取材で知りえたことだけでもフランスに必ず届けます。映画が完成したらお知らせします」と述べました。
(新聞「農民」2012.4.2付)
|