GM(遺伝子組み換え)汚染
防止と対策早く
パパイア農家が窮状を報告
食農市民ネットが院内学習会
食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)は3月15日、国会内で学習会「広がる遺伝子組み換え汚染〜急げ!国内法改正〜」を開き、生産者、市民、消費者らが遺伝子組み換え(GM)汚染の実態を告発し、政府に汚染防止と対策、農家への補償を訴えました。
昨年、沖縄で問題になったGMパパイアについて、沖縄県南城市のパパイア生産農家、大城浩明さんが駆けつけ、窮状を訴えました。
昨年3月に遺伝子組み換え問題が報道されるまで、市場では1キロ1500円の高値で取引されていたパパイアが、報道後に半値以下になったことを紹介し、損失補償については1年を経過した今でもまったくなく、「大変不満を持っている」と怒りの声をあげました。
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GMパパイア被害の一刻も早い損失補償を訴える大城浩明さん(右、立っている人) |
また、「台湾でGMパパイアが試験栽培されているのを知った段階で、遺伝子組み換え検査を輸入の際にきちんと実施すべきだった」と、国の対応を批判し、沖縄でGMパパイアが大きな問題になっている12月に、「なぜハワイ産GMパパイアの輸入を解禁したのか」と追及。最後に、大城さんは「国は早期に国内法を整備し、消費者には『安全』を、農家には1日も早い『損失補償』を」と強く訴えました。
GMナタネ汚染広がる実態報告
日本の輸入港近くで問題になっている、こぼれ落ちたGMナタネの自生について、参加団体の代表が調査結果を報告し、各地で遺伝子組み換え汚染が広がっている実態が明らかになりました。
農民連食品分析センターの八田純人所長は、港から輸送する距離や経路の把握を、行政がきちんと行う必要性を述べるとともに、たんぱく質の検査では「遺伝子組み換えでない」と判定されても、遺伝子の検査では「組み換え」となる事態が増えるなど、調査を始めた7年前と状況が変わってきている点を述べ、「調査を続け、新たなデータを積み上げながら、対策を考えていきたい」と語りました。
食農市民ネット運営委員の真下俊樹さんが、遺伝子組み換え汚染の対策と損害補償を徹底させるためにも、そのルールを定めたカルタヘナ議定書と、汚染による損害が生じた場合の責任と修復を明記した「名古屋・クアラルンプール補足議定書」の精神を生かすことの重要性を述べました。
さらに、2つの議定書を実効あるものにするために、「両議定書を具体化する日本国内の法制度を改正・拡充する必要がある」と強調するとともに、「生物多様性条約、カルタヘナ議定書を締結していない、世界最大のGM作物栽培国・アメリカに、参加を働きかけよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2012.4.2付)
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