「農民」記事データベース20120326-1014-04

お茶農家が賠償請求で合意

静岡県農民連・藤枝市農民組合
キャンセル相次ぐなか


 静岡県農民連・藤枝市農民組合はお茶生産者を中心に、東京電力に対して放射能被害の賠償請求をしてきました。3月7日、1月末に請求書を提出した13人のうち9人が請求額に対して満額、総額で約3200万円の合意書を交わしました。

 原発事故が発生した当初は、静岡県にまで放射能汚染の被害が及ぶとは思ってもいませんでした。しかし、5月には神奈川県の足柄(あしがら)地域、6月には静岡県で生産されたお茶からも基準値を超える放射性物質が検出され、生産者に大きな衝撃を与えました。

 2010年度産のお茶は凍霜害の影響で生産量、売り上げともに減少した年でした。2011年度産に期待を込めて生産してきた矢先の放射能汚染問題。新茶予約のキャンセルや返品が相次ぎ、その後も注文は激減しました。

 こうしたなか、藤枝市農民組合では東電に損害賠償の請求をすることを決定し、東電沼津支店の社員を呼んで、昨年12月22日と1月11日に説明会を行い、1月下旬に書類を提出しました。

画像
東電社員を呼んで1回目の説明会(2011年12月22日)

 説明会の段階からお茶の廃棄処理の問題があり、一般廃棄物として扱われるお茶の廃棄処理を受け入れてくれるところは民間・行政ともになく、廃棄自体ができない状況でした。そこで、東電社員とのやり取りや農民連本部からも東電本店へ働きかけを重ねた結果、廃棄前のお茶の賠償を取り付けることができました。

 書類を提出して約1カ月半の間には、お茶の廃棄処理の問題以外にも、東電本店の対応に憤りを感じることもありましたが、東電社員へ書類の確認作業を急がせることや進ちょく状況を逐一報告するように何度も連絡を行い、今回の合意に至りました。

 今回は1番茶の返品分のみを請求しましたが、今後、2番茶・秋番茶や廃棄費用などの請求を行う予定です。さらに、原発事故がなければ発生していなかった費用やみかん、米、みそなどの風評被害については、いまだ認められていません。この問題でも認めさせていくことが重要です。

(静岡農民連 種石かおり)

(新聞「農民」2012.3.26付)
ライン

2012年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2012, 農民運動全国連合会