「農民」記事データベース20120319-1013-07

私もTPPに反対です

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表 天笠啓祐さん


GM(遺伝子組み換え)食品の表示義務も
貿易障壁になるTPP

 アメリカからの輸入減らぬよう

画像 アメリカでは、すべての遺伝子組み換え(GM)食品に関して、表示は不要です。これに対してEU(欧州連合)は、全食品表示で、GMの混入率は0・9%までです。外食産業にも表示義務があります。

 日本では、食用油やしょうゆなど大半の食品が対象外で、表示は、みそ、しょうゆ、納豆程度です。

 しかもGMの混入率は5%まで認め、豆腐でも納豆でも5%入っていても「GMでない」と表示ができるわけです。外食産業は表示義務がありません。これがいまの日本のGM食品の表示制度で、アメリカ政府に深い配慮をして、事実上、アメリカからの穀物の輸入が途絶えず、輸入量が落ちないような表示の仕方にしたのです。

 日本が、TPPに参加すれば、日本の表示も「貿易障壁」として、表示撤廃の圧力がかかることはまちがいありません。現にいま、TPPに参加を表明しているニュージーランドでは、「GM食品の表示をなくせ」という動きが起こっています。

 たとえばモンサント社(アメリカ)の「ラウンドアップ」という除草剤の場合、「ラウンドアップ」に効くGM作物がでてきたとき、残留農薬基準が緩和されたのです。アメリカでは、残留農薬基準を100倍緩和しましたが、日本は20倍でした。TPPに参加すれば、アメリカの基準が適用され、日本にもさらなる緩和が求められます。

 食糧支配ねらうGM種子企業

 いまのアメリカの食糧戦略の柱は、GM作物で、とくに種子を通して食糧支配をしようとしています。日本経団連の米倉弘昌会長は住友化学の社長ですが、モンサント社の戦略的パートナーになっています。このモンサント社の種子がいま世界の種子の23%を占めています。GM種子メーカーであるデュポン社(アメリカ)、シンジェンタ社(スイス)も含む3社で世界の種子の約半分を支配しています。

 TPPでは、グローバル化の名の下に知的所有権の強化が図られます。

 種子販売企業は、農家と契約して種子を販売しているわけですが、「農家は自家採取してはいけない。毎年、モンサントから買わなければならない」という契約条件があります。大豆やトウモロコシは、種子販売企業がモンサント社以外のものを売らないことになってきます。大豆やトウモロコシを作りたいと思うと、モンサント社の種子を買うしかなくなります。遺伝子組み換えですから、種子代は高いし、問題点もでています。

 日本の有機農家がよくやっているのですが、今の種子を何度も何度も世代交代させて、もとの種子に戻していこうということをしています。しかし、そういうことをすると、特許権侵害でモンサント社から訴えられるわけです。

 GM動物の承認せまる圧力も

 さらにTPPで「GM動物・家畜を承認せよ」という圧力もかかってきます。間もなくGMサケがアメリカで承認されようとしています。安全性評価や表示の分野で、日本にも容認を迫る圧力がかかってきます。

 普通、サケは3年で一人前になりますが、GMサケは半分の1年半で一人前になります。GMサケを3年育てると、通常のサケの数倍の大きさになります。これが切り身になってしまえばわからないわけで、たとえば、コンビニやスーパーなどで買うシャケ弁当にアメリカのGMサケが入っていてもわからないようにしようというのが、TPPなのです。

(1月25日、第1回「消費者からみたTPP問題連続講座」での報告から)

(新聞「農民」2012.3.19付)
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2012年3月

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