旬の味
悪夢のような3月11日からはや1年がたとうとしている▼その日、震災で壊れた家屋の修理やガソリン・灯油を買い求める行列に並んでいた。目先の混乱に右往左往していたまさにその時、原発爆発の最大の影響を受けたのだった。時間がたって公表された放射線量の数値に、健康への不安と動揺が広がるなか、農村の状況は一変した。住み慣れたふるさとを追われ、生業を奪われ、気力さえももぎとられた農民は数知れない▼夏を迎え、“あきらめから生きがいを”との変化が農村を覆った。農民連が怒りを込めて東電や国に行った桃の賠償請求で実利を勝ち取った行動が、福島の農民を励ます契機となった。たたかいながら前に進む農民の粘り強さは、各地で発揮されている▼例年にない寒空のもとで、果樹の洗浄作業が急ピッチで行われている。シイタケのほだ場の除染に黙々と取り組んでいる。からだを動かすことで生きる喜びを味わった農民に、春の訪れは待ち遠しい。それ以上に消費者の笑顔が待ち遠しい。 (啓)
(新聞「農民」2012.3.12付)
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[2012年3月]
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