「農民」記事データベース20120312-1012-13

本の紹介

伊藤千尋著
地球を活かす
市民が創る自然エネルギー


今こそ世界の実情知って
日本の進む道を考えたい

画像 大震災と原発事故から1年がたとうとしています。世界は福島第一原発事故を教訓に「脱原発」の方針を打ち出し、より安全な自然(再生可能)エネルギー活用の方向に大きくシフトしています。しかし、野田内閣は、原発の再稼働や原発輸出など、「原発ゼロ」の方向に踏み出せずにいます。

 本書は、筆者が新聞記者として、各国のエネルギー問題について、これまで取材してきたものを1冊にまとめたものです。北欧のアイスランドには、地熱を利用した発電と温泉があり、世界最大の露天風呂が観光資源として、また市民の憩いの場として活用されています。

 筆者は、自衛隊の演習場が富士山のふもとにあることに疑問を抱き、「すそ野に地熱発電所と露天風呂をつくるべきだ」と提案します。「富士山には『戦闘』より『銭湯』が似合う」と。

 また、脱原発の方向に舵(かじ)をきったドイツをはじめ、オーストリア、イタリア、スウェーデン、フランスでも広がる、自然エネルギーの取り組みを紹介しています。

 一方、国内での事例も列挙。10億円の補償金を拒否して原発建設の反対運動を続けている山口県上関町の祝島、風力・太陽光・小水力の自然エネルギー活用に取り組む高知県梼原町、菜の花からナタネ油を搾ってエネルギーとして活用する「菜の花プロジェクト」などの施策を評価しています。

 筆者は「今こそ世界の実情を知ろう。そこから日本の進むべき道を考え、私たちの社会を変えていこう」と主張します。

 ▼定価=1000円+税
 ▼シネ・フロント社 TEL 03(5802)3121

(新聞「農民」2012.3.12付)
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2012年3月

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