「農民」記事データベース20120312-1012-07

くず米
消費者庁が実態調査公表

「表示の義務化」議論始まる


 消費者庁は2月20日、市販されている低価格米の表示と品質についての実態調査を発表しました。調査は、低価格の精米200点(関東と関西の小売店から購入した143点、インターネットによる通信販売で購入した57点)を対象に行われました。調査期間は2011年11月から12年1月まで。

 低価格米に含まれているくず米については、農民連食品分析センターが、ディスカウントストアなどに並んでいる安売りの米を調査し、その中にくず米が多く混ぜられていることを暴露していました。今回の調査は「(玄米を調整する際に、ふるい目から下に落ちた)ふるい下米やくず米が袋の中に入っていることを消費者がわるようにすべきだとの意見が出された」(消費者庁)ために実施したものです。

 砕粒(砕けた米粒のうち、その大きさが完全な粒の3分の2から4分の1までの粒)の実態調査では、その割合が10%を超える精米が12点(6・0%)あり、うち15%を超える精米が3点(1・5%)ありました。

 砕粒の含まれる割合が多かったのは、価格が1キログラムあたり300円〜400円の米が中心で、「複数原料米」の表示のある米の方が「単一原料米」の表示の米より砕粒の割合が高い傾向にあるという結果がでました。

 調査は、米穀事業者や米穀関係団体、消費者団体などからの聞き取り(ヒアリング)結果も公表。砕粒など(ふるい下米を含む)の表示については、消費者団体や登録検査機関から、「消費者に正しい情報を伝達しないことが問題だ」「農産物検査を受けていないふるい下米を使用した場合には、その旨とその使用率を表示すべきだ」などの意見が出されました。

 米穀関係団体からも「その商品の品位が一定に達しない場合は、表示を義務化すべき」など義務化を推進する回答がありました。一方、米穀事業者からは表示を義務化することについて慎重な意見が多く出されました。

画像 20日に開かれた消費者委員会の食品表示部会では、消費者庁からくず米の実態調査が報告され、「砕粒、くず米が一定量以上入っているものについては、消費者がわかるようにする必要があるのではないか」と表明。今後、議論を続けることを確認しました。

 表示を求める主な団体

 全国農業協同組合連合会(全農) 現在はふるい下米の使用にかかる表示義務がない。相当量のふるい下米が玄米、精米の原料として流通しているものと想定され、品質・食味の低下を招いている。また、ふるい下米の使用実態を明確化することは、消費者選択の一助となる。したがって、ふるい下米使用の場合にその旨及び使用率の表示を義務化すべきである

 主婦連合会 ふるい下米は農産物検査で規格外以下に相当する品位のコメであり、消費者にとっては食味の劣るふるい下米が商品に混米されても外観から判別することが不可能など多くの問題を抱えています。その一方で、低価格米を求める声に応えるとの名目で安いふるい下米を格上げ混米する一部の米流通業者にとっては不当な利益の温床となっています

(新聞「農民」2012.3.12付)
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2012年3月

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