「農民」記事データベース20120312-1012-04

損害賠償請求書を提出

山形県農民連
東電担当者呼び説明会

関連/収穫できず大減収・支出増 義援金を被害者に配布せよ


 山形県農民連は2月23日、山形市で、大雪のために延期されていた東京電力福島原発事故による損害賠償請求説明会を開きました。東京電力の東北補償相談センターから、3人の社員が出席しました。

 この日は、3月に同様の説明会を行う予定の庄内農民連をのぞく各地の農民連、産直センターのみなさんが集まり、ほかに県農政企画課の担当者や地元のマスコミなど5社も取材に訪れました。

 冒頭のあいさつで、県連会長の花烏賊義廣さんは「東電が放射能をまき散らした責任を取り、損害を賠償するのは当然のこと」と述べました。その後、産直センターや農民連の会員が、米や野菜、果物、土壌などの放射能検査料と、サクランボ観光果樹園の営業損害等にかかわる損害賠償請求書(総額で約1000万円)を東京電力に手渡しました。

 サクランボの観光果樹園を経営している会員は、「福島を通りたくないという関東方面からのお客さんが激減し、8割以上の減収になった」と、窮状を直接東京電力の担当者にぶつけました。ほかにも、長年契約していた保育園から契約を断られ、代わりの販売先が見つからなくて苦労している例や、「贈答先から断られたので、今年は果物の注文をキャンセルしたい」と言われたなどの例も出されました。

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被害の実情を訴える観光サクランボ園を経営する会員

 これらの訴えに対して、東電の担当者は「山形県は農産物の風評被害の対象県に含まれていない」ことを理由に明確な回答をせず、参加者の怒りを買いました。

 山形県農民連では、今後も損害賠償請求で合意した部分については実務処理を行うとともに、いまだ合意に達していない請求項目については引き続き直接交渉を進めることにしています。

 なお、夕方の地元テレビのニュースで、請求書提出の様子などが大きく報道され、翌日は地元紙でも紹介されました。

(山形県農民連 洞口昇一)


口蹄疫・豪雨被害・新燃岳噴火

収穫できず大減収・支出増
義援金を被害者に配布せよ

宮崎・都北農民組合

 宮崎・都北農民組合は、県南西部にある都城市と西・北諸郡の地域で活動しています。

 一昨年、昨年と2年続きで大きな災害に見舞われました。一昨年は4月に口蹄疫(こうていえき)、7月に豪雨で河川がはんらんし米や野菜は水没。昨年は1月に、新燃岳(しんもえだけ)の噴火で降灰による被害を受けました。農産物の収穫ができなくなり、収穫できても大減収のうえ、霜よけパスライトの張り替えや自主避難による借家代の負担、家屋や畜舎の損壊、農機具の故障などで大きな出費を強いられました。

 灰降ろしでケガをして1カ月以上入院した人には見舞金が出ましたが、こうした実質的な被害を受けた農家には、まったく義援金が届いていません。市議会で、農民組合の書記長(市議)が「義援金を配布すべきだ」とただしましたが、「次の噴火災害に向けて基金として積み上げておく」という市側の姿勢には、強い憤りを感じます。

 2年続きで借金を余儀なくされた組合員もいます。義援金は、「被災した人に渡してほしい」と思って募金された方が多いと思います。こうした実状を知らせ、市と交渉を計画しています。

(宮崎・都北農民組合 有田枝梨子)

(新聞「農民」2012.3.12付)
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2012年3月

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