風評被害の減収分かちとる
直売所 つくばのやさい畑
東京・板橋区
茨城県南農民組合に団体加盟している農産物直売所「つくばのやさい畑」は昨年12月下旬、農民連に相談して、風評被害による直売所の売り上げ減少に伴って損害を受けた委託販売手数料の減収分、約200万円を東京電力に請求。1月27日、満額賠償を勝ち取りました。
茨城・つくば市周辺の農家が出荷
経費切り詰めても
東京・板橋区にある「つくばのやさい畑」は、地元の協力もあって13年前に開設。つくば市を中心に約70軒の農家が、旬の野菜や果物、米を出荷しています。消費者にとっては「なくなったら困る」直売所です。
ところが原発事故による風評被害で、売り上げが通常の3割以上激減。代表の高野栄さんや店長の小泉ひで子さんは「特に9月以降、新米の売り上げの落ち込みが痛かった」と言います。直売所の運営にも支障が出る事態となり、トラック運送の回数を減らしたり、直売所スタッフの勤務時間を切り詰めたりとコスト削減に努めました。しかし、それでも直売所の運営が成り立たないということで、損害賠償を請求することにしました。
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客も戻ってきた直売所「つくばのやさい畑」(板橋区前野) |
当初、行政や農協が窓口になっている地域の協議会に相談したところ、「風評被害の請求は、3月から5月までの分のみ。あとは打ち切り」という方針。「これではなんにもならん!」ということで農民連に相談しました。そこで、“自分たちで資料をそろえて自分たちで東電に請求する”ことを教わり、さっそく実行。すると、東電職員が何度も事務所を訪れ相談に乗ってくれるようになり、東電本社の審査にも耐えられる請求書を作成することができました。
運営もやっとひと安心
農民連に相談してよかった
9月〜2月分また
資料や伝票整理を担当した下野清さんは「東電の職員は誠意を持ってやってくれたと思います。今回、8月までの請求分が支払われたので、今度は9月から今年の2月までの分を、また請求します」と話しています。高野さんはこう言います。「農民連はさすがだ。これでなんとか直売所の運営もひと安心。しかし、もとに戻ったわけじゃない。風評被害が今後も続くのかと思うと気が重い。福島の農家はもっとたいへんなんだね。原発はなくすしかない!」
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高野さん(左)と下野さん |
直売所には、「安全宣言」のポスターや、農民連食品分析センターの検査結果表なども張り出し、安全・安心をアピール。店長の小泉さんは「野菜やお米は一つひとつ検査し、安全なものばかり。お客さんも少しずつ戻ってきています」と、笑顔で話してくれました。
(新聞「農民」2012.3.5付)
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