旬の味
茨城の有機農業者から話を聞く機会があった。原発事故直後、まったく情報のない中で大変な苦労があった▼最もこたえたのは、数カ月して野菜の出荷を再開しようとした時に、今まで「安心・安全」で自分の野菜を選んでくれていた消費者が去っていったこと。そして取引先の業者も、関西の野菜だけ販売を始めるなど、今までのつながりまで切れたことだったという▼農家が土地を抱えて逃げることはできない。とにかく畑を耕しタネをまき、仲間とともに農産物を検査し、情報を公開してきた。大学の研究者など新たなつながりができ、技術的な支援も得られるようになった。放射性物質が落ちてきたことは事実だが、野菜からはほとんど検出されなかった。これまでの土づくりが放射性物質を封じ込めていることがわかった▼「農業は除染の最前線になる」、そう自覚し、地域とともに農業で生きることを決意したという話だった。農には農の対策があったのだ。農の基本はやはり作り続けることだと改めて思った。 (綿)
(新聞「農民」2012.2.27付)
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[2012年2月]
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