「農民」記事データベース20120227-1010-08

牧草支援の北海道の3人
福島の酪農家を訪ねる

釧根農民組合協議会 岩崎 和雄


今も出荷制限、飼料不安続く
放射能の怖さ目の当たりに

 昨年11月、福島の酪農家が“牧草支援のお礼に”と北海道各地を訪ねました。「今度はこちらから福島を一度訪ねてみたい」という機運が高まり、3人で福島を訪ねました。

 1月12日、JR福島駅で、昨年北海道を訪れた佐々木健三さんと合流し、いっしょに北海道を訪れた川俣町の斉藤憲雄さんの牧場を訪問しました。棚田のある急傾斜地の一番奥まったところで酪農を営んでいる斉藤さん。今も出荷する牛乳の放射能測定が行われていて、100ベクレル以下でないと出荷できないそうです。4月以降は新基準値に改定されることから、半分の50ベクレルをクリアしなければならないということで、「飼料が不安です」と話していました。また、たい肥も畑にまくことができず、畑の隅に積んでいるそうで、大規模な酪農家の中には、自分の土地だけでは足りず、土地を借りてたい肥を保管せざるを得ないなど、原発事故がなければあり得ない心配ごとです。

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斉藤さんの牛舎にある牧草を手にする北海道の仲間ら

 その後、郡山市石筵(いしむしろ)で酪農を営む橋本整一さんの牧場に向かいました。ここでは、地域の酪農家と共同でエサ米のホールクロップサイレージを作り、給与していました。牧草やデントコーンなどの飼料作物は、収穫時に畑の土が混入すると表土に残留するセシウムの混入の危険が大きいのだそうです。

 また、佐々木健三さんの牛舎と「ささき牛乳」の工場に伺いました。原発事故の後、牧草は牛に与えられないので、北海道から牧草を購入しているそうです。同じ農家として放射能の怖さをあらためて気づかされました。

 翌日は、南相馬市の避難区域ぎりぎりのところで酪農を続けている杉和昌さんを訪問しました。杉さんの奥さんと子どもは、いまも新潟に避難しているそうです。エサや敷きわらのこと、周りの酪農家の様子などを聞きました。

 今回の訪問では、予想以上に被害が大きいことを実感し、たたかう農民連の姿は印象的でした。今後、物心両面の支援だけでなく、福島といっしょにたたかい、運動を進めることも大切な支援だと強く感じました。


 訂正 2月20日付の「旬の味」中、「小出裕章教授」は「助教」の誤りでした。おわびして訂正します。

(新聞「農民」2012.2.27付)
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2012年2月

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