「農民」記事データベース20120227-1010-07

人と自然・体と心のつながり育む
合鴨農法

全国合鴨フォーラム東京大会

 「私たち全国合鴨水稲会は、無農薬の安全な米を作ることを通じて、自然の恵みとともに『生きること』『生き続けること』の意味を考え続けていきます。経済的豊かさよりも、自然と寄り添い、安心と継続を優先させる強い意思を持って行動します。その意思を持って、合鴨君とともに原子力発電に対し明確に反対します」―2月11日、東京・台東区民会館で開かれた第22回全国合鴨フォーラム東京大会で、生産者・消費者ら約300人は「原子力発電に対する反対声明文」を採択しました。


原発とは絶対に相入れない

 どう向き合う

画像 今年のテーマは「合鴨でつながる、命」。原発・放射能汚染とどう向き合っていったらいいのか、真正面から議論しました。

 大会委員長の砂金(いさご)健一さん(台東区の金澤米店・店主)は「このフォーラムは、新しいつながりを産(はぐく)み出す種まきの場です。一人ひとりの心に希望の種をまくことで、明日からの活動や暮らしにいかしていきましょう」と開催宣言したあと、岡山商科大学教授の岸田芳朗さんが「人と人、人と自然、体と心のつながりを育む合鴨農法は、原発・TPPとは絶対相入れない。私たちはあまりにもおとなしすぎる。もっと怒りの声をあげよう」と基調報告。

 新潟大学教授の野中昌法さんが「放射能汚染土壌の修復と有機農業」について、また大妻女子大学名誉教授の池上幸江さんが「食品・水の放射能汚染と防御」について特別講演。野中さんは「耕作努力によって、田畑の放射性セシウムの吸収をかなり低下できるし、農の営みを継続することで放射能に打ち勝つことができる」と強調しました。

画像
原発・放射能汚染について各分野から報告したパネリストら

 被災地からも

 また、4年前に脱サラして、岩手県一関市で合鴨農法に取り組む「ファームあんすろーじ」の田中修さんは、悪戦苦闘しながら合鴨農法に取り組んだ体験をユーモアを交えて報告。しかし原発事故後、合鴨から放射性物質が検出された事実を明らかにしました。

 農民連の斉藤敏之さんは、放射性物質の検査について食品分析センターの活動を紹介しました。

 台東区の「親子でどんぶらこ」や荒川区の「子どもの未来を考える会」のおかあさんたちから、学校給食の放射性物質の検査を求める取り組みなどが報告され、被災地から福島・浜通り農民連の三浦広志さんが、損害賠償請求や農業再建に向けた取り組みなど、被災地の実情を報告しました。

 とても心強い

 フォーラムに参加し、「今年から合鴨農法に挑戦したい」という茨城・県南農民組合の辰澤正寿さんは「こんなに合鴨農法をやっている農家がいることを知って、とても心強く思った。カラス対策など先輩の石引精一さんによくおそわって、安全でおいしいお米を作りたい。ただ、放射能汚染が心配です」と語っていました。

(新聞「農民」2012.2.27付)
ライン

2012年2月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2012, 農民運動全国連合会