米先物取引認可半年で解散騒ぎ!問われる農水省の責任
農水省が関係者の強い反対を無視して認可した米の先物取引の試験上場。東京穀物商品取引所(東穀取)と関西商品取引所(関西商取)が取引を始めて半年が経過しました。この間、取引所や農水省の思惑は完全にはずれて取引は停滞の一途をたどり、経営の悪化から東穀取は「解散」を含めた経営見直しの検討を始めました。認可した農水省の責任が厳しく問われています。
取引停滞、経営はさらに悪化し両取引所は昨年8月8日、取引を始めたものの当業者(農家や米業者)の参加が得られず、投機家にも見放されたのか取引は停滞し、なかでも東穀取は一日あたり5000枚(1枚6トン)の目標に対してその1割にも満たない出来高に推移し、業績の悪化が取りざたされていました。このため、取引所の幹部などによる専門委員会が設けられ、2月6日の会合では「ほかの取引所に上場商品を移したうえで解散も含め、経営見直しを検討」(NHK)などと報じられています。もともと東穀取は深刻な経営状態にあり、東京工業品取引所との統合が決まっていましたが、米上場の認可を受けて統合話をご破算にした経緯があります。また、東穀取の渡辺好明社長が元農水省事務次官であったことから、今回の認可は東穀取の救済策であり、「農水省幹部の天下り先の確保」との声さえ報道されていました。
農水省ホームページで先物取引のPR!?農水省は、先物取引の停滞が抜き差しならない状態に陥った昨年12月13日、自らのホームページ上で先物取引の情報提供を始めました。「取引を推しょうするものではない」と断り書きを入れていますが、取引所存続に躍起の農水省の思惑が透けて見えます。拙速に先物取引を認可したうえ、先物取引のPRまで買ってでる政府・農水省の責任は二重、三重に重大なものがあります。
解散が先か認可取り消しが先か農水大臣は、認可に際して「当業者の参加も増え一定の取引が見込める」と言い訳をしていましたが、わずかな期間に取引の停滞で認可の前提が崩れ、その誤りは明白です。取引所「解散」が取りざたされる今、「解散が先か」、それとも「認可取り消しが先か」。農水省にはその判断が鋭く問われています。東日本大震災と原発事故により米の生産や流通が安定せず、消費者の不安が広がるもとで、政府・農水省がやるべきことは、福島県産を含めて国民が安心して米が食べられるよう管理と検査に万全の対策をとり、米の需給と価格の安定に責任をもつ当たり前の米政策へ転換をはかることです。 (農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
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[2012年2月]
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