「農民」記事データベース20120227-1010-01

農民連第20回青年部総会

私たちはこの大地でつくり続ける

関連/参加者の感想

 農民連青年部は2月11、12の両日、東京・文京区で第20回総会を開き、2日間で過去最高の約100人が集いました。今回は震災と原発事故を受けて、農家としてどう農業と向き合うか、参加者一人ひとりが学び、考え、交流する機会になりました。


みんなで学び、考え、交流
きずなと連帯を深めた

 土にこだわり

 初日は、特別企画「日本の農地でつくり続けることは?〜震災とTPPから考える」をテーマにパネルディスカッション。報告した福島県の三浦草平さんは、震災・原発事故後、千葉県に避難していました。しかし、「福島でも安全な農産物を作ることは可能。検査を徹底し、危険なものは流通させない。どこでやってもそんなに変わらないなら自分の好きな土地で農業を続けたい」と、再び福島に戻ることを決意しました。

 「農産物の安全性を裏付け、農家と消費者との信頼関係を築き、農業を支えてもらうのが私たちの役割」との使命感に燃えるのは、農民連食品分析センター所長の八田純人さん。遺伝子組み換え(GM)食品の表示義務を取り払おうとするTPPに対して、GM食品の検査やGMナタネの自生調査を通じて、「新しい動きをつくりたい」と訴えました。また、カンパで購入した分析機器を使った放射能検査で、「検査データを多くの人に届け、共有してもらうことが大事だ」と述べました。

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「日本の農地でつくり続ける」―パネリストがそれぞれの思いを語り合った特別企画

 和歌山県の農家、高橋範行さんは、「おいしいもの、安全・安心なものを作りたい」という思いから、土づくりにこだわり、その土壌にあったぼかし肥料や、スーパーなどからでる食品残さを使った肥料での栽培の経験を紹介。「生き物と土の輪が大事。人間だけでなく、すべての生き物が笑顔でいられるように心がけている」と語りました。

 仲間支えたい

 新潟県の米農家、相澤堅さんは、豪雪の中山間地で米作りを続けていく喜びを報告。「平場より草刈りは2〜3倍の労力がかかり、収量も少ない。しかし、山間地には固いきずながあり、地元のきずなを守っていきたい。みなさんが国産の農産物を買えば、農家とつながることになる。農業を通して一緒につながろう」と呼びかけました。

 千葉市土気で定期的に農家と消費者を結びつけるマーケットを開いているのは、農民連国際部の武田伸也さん。以前、高原野菜のアルバイトをしていたときは「食糧のための農業」という位置づけでしたが、海外経験や地元活動を通じて、「農業を続けることで農村の景観や地域が保たれる」と目覚めました。

 さらに、農民連の国際活動をしていくなかで、気候・環境問題や飢餓の問題にも目を向け始め、「農業は人間的なもの。農業がやりやすい社会になるよう政治を変え、農家の仲間を支えたい」と述べました。

 その後、参加者はグループに分かれて討論しました。

 20回の記念を

 夜は、20回記念レセプションを兼ねた交流会。全労連の五十嵐建一書記長と日本民主青年同盟の田中悠委員長が連帯のあいさつをしました。

 2代目の青年部長だった三浦広志さん(福島)が乾杯の音頭。20年の歩みを振り返る映像も映し出されるなかで、参加者は交流を楽しみました。

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20回目を記念して“乾杯”!

 支援活動報告

 2日目は、災害支援活動の特別報告がありました。和歌山の高橋範行さんは台風被害(9月)での救援活動、新潟の相澤堅さんは7月の豪雨災害、長野の弦巻吉春さんは大震災で被害を受けた栄村での救援活動についてそれぞれ報告しました。

 青年部長の杵塚歩さん(静岡)は、急須を集めて被災地に送るなど、お茶農家であることを生かした支援活動について語りました。福島の岩渕望さんは支援を受ける立場から「できることならなんでもいい。大きな支援になります。災害を忘れないようにみんなに伝えていきたい」と述べました。

 日本共産党の有坂哲夫農林・漁民局次長、農民連本部の吉川利明事務局次長が来賓あいさつをしました。

 総会決議とともに、特別決議「私たちはつくり続ける、日本の大地で」を満場の拍手で確認しました。

 夏の学習交流

 最後に、8月から9月にかけて、夏の学習交流会とともに、国際的農民組織、ビア・カンペシーナの東南・東アジア青年集会を新潟で開くことが呼びかけられました。

 選出された主な役員は次の通り(敬称略)。

 部長・杵塚歩、副部長・植田修、高橋範行、星智也、岩渕望=いずれも再=、事務局長・武田伸也=新=


参加者の感想

 なぜ農業やるか改めて考えた

 群馬・山村聡さん(25)=酪農= 先代から続けてきた農業を自分でつぶすわけにはいかないという思いと、動物好きだからという理由で酪農をやっています。総会に参加して、自分がなぜ農業をやるのか、改めて考えさせられました。まだ手探りの状態ですが、群馬に戻ってから、青年部の活動を始めてみたい。

 農家の苦労話を聞け勉強できた

 和歌山・大崎裕子さん(22)=紀ノ川農協= 私たちが知らない農家の人たちの苦労話など勉強になりました。福島・三浦さんの「好きな土地で作り続ける」という言葉はとても印象深かったです。地元でももっと農家とかかわっていきたい。

 若いパワーにびっくりした

 静岡・杵塚佳苗(かな)さん(25)=茶農家= 初めての参加でしたが、若いパワーにびっくり。消費者の方が、生産者をどう支援したらいいのか、悩んでいることを知ってうれしく思いました。和歌山の土づくりに刺激を受けて、私も土壌検査をやってみたい。

 青年部を強くしていきたい

 奈良・杉村出(いずる)さん(33)=奈良県産直センター= これからの農業は独創的なアイデアが求められる時代だと思います。被災地支援も、モノより気持ちが大事ですね。農家以外の人ともつながりながら、青年部を強くしていきたい。

(新聞「農民」2012.2.27付)
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2012年2月

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