全国委員会の発言から
モモ・柿の賠償成果から
爆発的に会員が増えた
福島県連 阿部 哲也
はじめに、全国からの支援に心から感謝申し上げます。
私が住んでいる福島市は、福島第一原発から約65キロも離れていますが、常に毎時1ミリシーベルト前後の放射線量です。これは、病院の放射線管理区域よりも高い線量の中で、日々生活しているということです。
この間、私の性格は短気で怒りっぽくなりました。家族から「畑は大丈夫なの?」「食べていいの?」と何度も聞かれると、ついつい「大丈夫だってば」「黙って食え」とか言ってしまいます。
福島県北農民連では、昨年4月から各地でこまめに損害賠償請求にむけた説明会を行ってきました。請求の考え方は、東電と国の責任を明確にして、自分で納得いく資料を自分で準備し、東電社員と直接交渉するということです。説明会には東電社員を呼んで、いつまでに支払うのか、交渉でつめて賠償をかちとってきました。
一番地域をびっくりさせたことは、風評被害で大暴落したモモの損害賠償を昨年10月に全面的にかちとったことです。その後、生産自粛になったあんぽ柿の損害賠償もかちとりました。これは、“アンポ闘争”と呼ばれて有名になり、口から口へ伝わり、新しい会員がまた新しい農家を連れてくるという「芋づる式」で、この間、40人以上の新しい会員が爆発的に増えています。
損害賠償請求のたたかいはまだまだ続きます。これからも請求運動と会員拡大を車の両輪にしてがんばっていきます。
福島県北の活動に学び
思い切った組織拡大を
茨城県連 村田 深
茨城農民連は、昨年4月5日、どこよりも早く東電茨城支社に対して損害賠償請求を行いました。東電側は、「まだ賠償の仕方が決まっていないので、請求書は受け取れない」と言ってきました。受け取るよう抗議するとともに、生産者一人ひとりが自筆の要請カードを提出しながら、自分の思いを東電にぶつけました。
「これまで安全・安心な農産物を消費者に届けるために、農薬も化学肥料も使わないで何十年もかけて土作りをしてきた。それが放射能で一瞬のうちに汚されてしまった。どうやって消費者に説明すればいいんだ」「カネはいらないから、土を元通りに戻してくれ」「生産者にとっても消費者にとっても基準値以下だから大丈夫とはならないんだ」―こういう生産者の一言一言が東電社員の心に響き、何度となく行ってきた請求運動のなかで、東電社員も変わってきました。
これまでに34件、1億1千万円をこえる賠償金が生産者に振り込まれました。また、直売所の売り上げ減少分の請求に対しても、満額で合意書を交わすことができました。
この請求運動のなかで若い会員が急速に成長しています。自分の賠償を勝ち取ることが他の農家に道を開くことになるという自覚をもって、率先してたたかってくれました。賠償請求をつうじて何人かの生産者を農民連に迎えていますが、福島の活動に学んで、思い切った会員・読者の拡大に取り組んでいきます。
(新聞「農民」2012.2.13付)
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