「農民」記事データベース20120213-1008-01

第23回農民連女性部総会

女性の力で復興の風おこそう

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  /やっぱり危ない!TPP2・25シンポジウム

 「女性の笑顔で農村から復興の風をおこそう!――TPPストップ・被災地連帯・原発ゼロ――」をテーマに、第23回女性部総会が、1月29、30の両日、宮城県大崎市で開催され、全国から約150人の女性たちが集いました。大震災・原発被害への支援活動や、農産物の直売・加工の取り組み、TPP反対の運動など、各地からの報告に共感が広がりました。


ありがとう農民連で
つながってよかった

 物資とともに会員の“心”届く

 「つながって、よかった。ありがとう! ようこそ宮城県へ」――会場となった宮城県鳴子温泉の「農民の家」の壁を、開催地宮城県の古川農民組合女性部手作りの横断幕が色鮮やかに飾るなか、総会がスタート。地方での総会開催は初めての試みです。北は北海道、南は高知、愛媛からも参加があったほか、岩手、宮城、福島からも総勢50人を超える女性たちが参加しました。

 久保田みき子女性部長の議案提案に続いて、被災地3県が報告。宮城県の鎌内あつ子さんは、「全国からの支援、本当にありがとうございます。物資と一緒に皆さんの“心”が届きました。今日は“農民連でつながって良かった”という私たちの気持ちそのままの横断幕を作って参加しました」と述べました。

 福島からは4人が登壇。県連事務局の佐々木賀代子さんは、「福島では原発事故の後、本当に作って大丈夫なのかと悩みながら米や果樹を作ってきましたが、悔しい思いを抱きながらの農作業はどんなにつらいことか。でも子どもたちに故郷を、農業をつないでいかねば、ここで負けられないと、全面賠償を求めて全力でたたかっています」と、報告しました。

 原発事故が故郷、 父さんを奪った

 原発事故後、夫が自ら命を絶った樽川美津代さんも登壇し、「原発事故は田んぼも山も川もみんな汚してしまいました。お父さんを亡くしてから、私がもっと注意していれば…という思いが抜けません。これはお金では済まされません。命の大切さなんです。日本からすべての原発をなくしてください」と切々と訴え、女性たちも涙をぬぐいながら、聞き入りました。

 岩手の女性たちは、「青空ゼロ円市」の横断幕を持って、全員が登壇しました。岩手県女性部では、のべ120カ所、180人が参加して、生活物資と炊き出しの支援「青空ゼロ円市」に取り組んでいます。陸前高田市など町全体がなくなってしまったという津波被害の様子をつぶさに語りながら、「農民連の全国の仲間からいち早く届いた倉庫いっぱいの物資に、本当に感動しました。農民連の組合員でよかった」と、感謝を述べました。

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色とりどりの横断幕を持って報告する岩手県連女性部の皆さん

 また岩手では、農民連の被災地支援が三陸沿岸部にも広がるなかで漁民組合が結成され、「青空ゼロ円市」をきっかけに漁民組合の女性たちが県の女性部に入会。今回の総会にも結成されたばかりの山田漁民組合から2人の女性が参加し、割れんばかりの拍手が送られました。

被災地連帯、TPPストップ、原発ゼロも

 もの作りや加工の発言も活発に

 もの作りや加工、女性部の活動などの発言も活発に出されました。

 「県の女性部で念願の加工所を建設し、イベントなどで農民連の農産物で作った“農家の里山弁当”を販売したところ、大好評。イチゴをジャムにして福島に送る支援もできた」(奈良)、「閉店したスーパーの一部を改装して、女性部で加工所を建設。惣菜で許可を取り、加工を始めます」(埼玉)。

 またTPP参加反対の取り組みにも、「韓国では、モンサントが国内大手の種子会社を買収し、農業の大元である種子が多国籍企業に握られています。TPP参加を推進する経団連会長はアグリビジネスの住友化学の社長でもあります。地域に残る在来種を掘り起こし、作り続けていきましょう」(神奈川)、「昨年7月の農業委員選挙で初当選。さっそく農業委員会として市議会にTPP反対の要請を出すよう提案し、奮闘中」(岐阜)などの発言が続きました。

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総会後、石巻市の津波被害を視察しました

 農民の言葉で農業の役割広め

 2日目には、福島県立医科大学の後藤宣代さんが講演。後藤さんは、1%の強欲資本主義者が99%の私たちを支配していると抗議する“グローバル・オキュペーション(地球を占拠せよ)”という運動が、いま世界中で広がっていることを紹介しながら、「政府は震災を利用して“火事場ドロボウ”のようにTPPや構造改革を強行しようとしています。農民は環境という公共財の守り手。労働者と農民が同盟を結んでTPP反対の世論をつくるには、農民が自分の言葉で農業の役割を語ることが大切」と訴えました。

 総会では、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が来賓あいさつしました。


コメント

総会に参加してお礼が言えて…

 佐々木サヨ子さん(岩手・山田漁民組合)

 全国からの支援、本当にありがとうございました。私たちも前に進もうとしていますが、船も何もかも流され、漁業の復興には支援もなくて、養殖棚の再建などたいへんです。不安がいっぱいでしたが、青空ゼロ円市で助けてもらったりして、涙が出る思いでした。総会に参加して、皆さんにお礼も言えたし、全国にはこんなに一生懸命応援してくれる方が大勢いるんだとわかって、本当にうれしかったです。

一番苦しいのは先が見えない事

 川崎美代子さん(福島・浜通り農民連)

 原発事故で、相馬市の仮設住宅で暮らしています。今いちばん苦しいのは、先が見えないこと。自分の家に入るのに警察の許可がいるなんて…。家に帰れないこともショックですが、有機米でつながってきた消費者の皆さんとのつながりが、たった3基の原発で途絶えてしまった、これはもっとつらいです。農薬を使わず、手で除草して、15年かけて有機米を作ってきたのに…。

 総会に参加して、本当に良かった。皆さんに元気をもらいました。支援にお礼を伝える場がなくて、ここでやっとお礼が言えました。


やっぱり危ない!TPP
2・25シンポジウム
▼と き 2月25日(土)午後1時〜4時30分
▼ところ 全労連会館2階ホール
     (JR中央線または地下鉄丸の内線御茶ノ水駅下車徒歩10分)
▼資料代 500円
▼主 催 全国食健連 TEL 03 (3372) 6112

(新聞「農民」2012.2.13付)
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2012年2月

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