「農民」記事データベース20120206-1007-14

旬の味


 ある青少年活動センターで、何度か「伝統食カフェ」を開いた。小学生に青年たち、ヨガ教室の若ママ、市の職員の人たちがお客さんで、カウンターには手づくりの伝統食がずらりと並ぶ▼「172円しかないけど、鯖(さば)のみそ煮とおにぎり1個ちょうだい」と、剣道教室帰りの男の子がスタッフに直談判した。鯖のみそ煮は定価250円、おにぎりは80円。半値交渉だが、「絶対に食べたい!」という並々ならぬ意思が伝わってくる▼おばさんたちは子どもに弱い。特に「日本のおかず大好き」という子はなおさらだ。交渉成立! 男の子はおいしそうに食べるや、「この鯖のみそ煮もおにぎりもおいしいよ」と、品選びするおとなに勧めている▼かつて日本では「出世払いでいいよ」と言って、後輩や若者たちを育てた。こんな言葉も忘れそうな昨今だが、「出世払いでいいよ」の心で子どもたちの未来を育てたい▼そうしたら、TPP参加にうつつをぬかすようなおとなにはならないはず―とは、甘いだろうか。

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(新聞「農民」2012.2.6付)
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2012年2月

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