「農民」記事データベース20120130-1006-07

ハワイ産GM(遺伝子組み換え)パパイア
昨年12月から日本で輸入解禁

食の安全と農業への影響が心配

 アメリカ・ハワイ産の遺伝子組み換え(GM)パパイアが昨年12月から日本で輸入解禁になり、食の安全と国内農業への影響が心配されます。これまで、遺伝子組み換えのトウモロコシ、大豆、ナタネ、ワタの輸入が認められてきましたが、今回のパパイアは、生で食べる初のGM食品です。その問題点と、今後、何が必要かを考えます。


沖縄で未承認GMパパイア種子発見
“安心して生産できる対策を”

 消費者庁は、輸入されるGMパパイアには、一つ一つに遺伝子組み換えであることを示すシールを張ることで、消費者が店頭で選択できるようになると説明します。しかし、日本がTPP(環太平洋連携協定)に参加すれば、食品の安全基準が緩和され、アメリカ同様、遺伝子組み換え作物表示の義務づけが廃止されるおそれがあります。

 台湾種苗会社のタネ

 昨年4月、農水省は、沖縄県内の種苗会社から未承認のGMパパイアの種子が発見されたことを発表しました。この種子は台湾の種苗会社から輸入されたもので、「台農5号」として輸入されたものです。

 「台農5号」は、県の奨励品種で、ウイルス病に強いとして数十年前から栽培され、県内のパパイア栽培面積の2割を占めているといわれます。非遺伝子組み換えである「台農5号」に、なぜ遺伝子組み換え体が混入したのかについて、現在、調査中です。

 県は、GM種子が発見されて以降、すべての「台農5号」の伐採処分を行い、栽培農家には、代替の種子を配布しました。5月以降、パパイアの売り上げは大きく落ち込み、被害総額は約7000万円といわれていますが、農家への金銭的な補償はいまだに行われていません。

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沖縄名産のパパイア

 農水省は影響ないと

 農水省は「交雑可能な在来野生種もなく、他の植物との生存競争に負け、拡大していくことはない。生物多様性への影響はない」と述べています。さらに損害の補償についても「第一義的には被害者と輸入・販売業者との問題」との立場です。今回、「台農5号」の輸入、販売に携わった種苗会社はいずれも中小企業で、被害農家への賠償に耐えられる保障はありません。

 県農業法人協会(大城浩明会長)は、(1)パパイアの伐採、加工品の廃棄に伴う生産者への損失補償を行うこと(2)風評被害の発生・拡大防止対策を実施すること(3)種子が輸入された原因の究明、未承認GM農産物の輸入の未然防止など生産農家が安心して生産に取り組める対策を講じること―を国と県に求めています。

(新聞「農民」2012.1.30付)
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2012年1月

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