「農民」記事データベース20120116-1004-03

TPP

アメリカ・財界の横暴
新たな事実次々明白に


参加断念させるまで
さらに共同を大きく

 野田首相がTPP交渉への参加表明をしてから2カ月余。この間、アメリカや財界の横暴、新たな事実が次々に明らかになっています。

 交渉文書極秘扱い

 12月22日付のしんぶん赤旗は、「交渉文書は協定発行後、4年間公開しない」という合意があることを暴露しました。これは、ニュージーランド外務貿易省のTPP首席交渉官が明らかにしたもので、「交渉開始に当たって、各国の提案や交渉文書を極秘扱いにするという合意がある」というもの。11月15日付の朝日新聞によるアンケートでは、84%の人が「政府の情報提供は不十分」と答え、これに対し枝野経済産業大臣は「TPP交渉参加をめぐる国内の懸念に対しては、交渉で得た情報を国民と広く共有することで払しょくしていく」と胸を張りました(12月2日、外国特派員協会での講演)。しかし無知なのか厚顔なのか、「4年間非公開」では国民との「情報共有」などできるはずもありません。

 また、「経団連の米倉会長は、なぜTPPを推進するのか。ぼろ儲(もう)けのカラクリ」と報道しているのは、11月23日付の日刊ゲンダイ。その記事によると、TPPに参加すれば遺伝子組み換え食品の表示義務がなくなり、アメリカの種子ビジネス大手のモンサント社は、強力な除草剤「ラウンドアップ」とそれに負けない遺伝子組み換え種子とのセット販売で大儲け。そのモンサント社と2010年10月に提携したのが、米倉氏が会長をしている住友化学で、同社も「ウハウハ」というわけです。

 市場開放協議を先行

 さらにアメリカ政府と議会は、日本の交渉参加を「歓迎」し、横暴な要求を出し始めました。12月24日付の日本経済新聞によると、全米商工会議所のアジア担当副会頭は「自動車の市場開放協議を先行するよう強く求める」と述べるとともに、アメリカ車の輸入に一定の目標数量を設ける案を指摘した、と報道されています。これは、いわばミニマムアクセス米ならぬ「ミニマムアクセス・カー」。トヨタの最新鋭車「アクア」の燃費性能は1リットル35・4キロ、これに対してクライスラー車「コンパス」の燃費は10キロで、トヨタ車の3・5倍。燃費性能が極端に悪く、誰も買いたがらないアメリカ車を押し付けられ、ミニマムアクセス米のような不良在庫を抱え込めとでもいうのでしょうか。

 穀物メジャー圧力

 また12月14日に開かれたアメリカ下院の歳入委員会貿易小委員会の公聴会では、穀物メジャー・カーギルの幹部や政府通商代表部の代表などが、農業やBSEの輸入緩和、医薬品や保険などのサービス業などを取り上げ、より高い障壁の撤廃を相次いで求めています。

 一方、年末にもかかわらず、奈良や青森などでは全県的な集会・デモが行われるなど、「TPP交渉に参加するな!」の声は衰えるどころかますます大きくなっています。

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“TPPに参加するな!”―神戸市の中心街・三宮のビルの谷間にシュプレヒコールがこだましました(2011年11月18日)

 こうしたなか、野田内閣の支持率は11月末の調査よりさらに15ポイント下がって36%に、反対に不支持率は14ポイント上がって5割を超えました。(12月26日付、日本経済新聞)

 2012年を“TPPを断念させる年”にするため、共同をさらに広げおおいにがんばりましょう。

(新聞「農民」2012.1.16付)
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2012年1月

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