「農民」記事データベース20111219-1002-09

旬の味


 まっさらな年賀状の束に、年の瀬を間近に感じる季節になった。この1年、こんな年になると誰が予測できただろう▼3月11日を境に、農業を取り巻く環境はまるで変わってしまい、食への不安は輪をかけて強くなり、吹き荒れる不景気の嵐は一層厳しさを増した。野田首相は相も変わらず、TPPと増税にばかり熱心で、まるで震災などなかったかのようにさえ感じられる▼けれど実際は、生産者の直売会で「放射能検査済み」の紙が目につく場所に張られるようになり、「不検出」が伝家の宝刀になった。わが家でも取引先に請われて、鶏の餌に使う飼料の放射能検査結果を取り寄せた▼あらゆる分野の人々が放射能の不安とたたかっている。幕張での農業機器の展示会で、幅を利かせていたのは耕運機やトラクターではなく放射線測定器で、高価な機械の周りに人だかりができているのを驚きつつ眺めた。その光景に、こんな状況の中でも安全を届けようとする生産者の前向きな姿勢を教えてもらった気がする。

(よ)

(新聞「農民」2011.12.19付)
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2011年12月

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