「農民」記事データベース20111219-1002-08

災害復興・地域再生の道探る

地域のつながり大切に、運動継続


全国農村サミット

 日本大学生物資源科学部などが主催する第13回全国農村サミットが11月25、26の両日、神奈川県藤沢市の同大学キャンパス内で、「地域の復興再生力と大学の約割」をテーマに開かれました。

 25日は3つの分科会が開かれ、「環境・まちむらの被害と復興再生・支援」の分科会では、福島県農民連の根本敬事務局長が「フクシマに生きる。世界と生きる」のテーマで報告。事故を起こした東電に全面賠償を求めるたたかいは、「農民としての誇りを勝ち取るたたかい」だと述べるとともに、「原発がクリーンで安全なものでないことを認めさせ、企業の利益を最優先にする国の姿勢を変える大きな力になる」と訴えました。

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「美しい福島を取り戻すまでたたかう」と力を込める根本さん(右)

 次に報告した福島県飯舘村の菅野哲さんは、2・5ヘクタールの野菜農家で、いまは妻と85歳の母との3人で福島市に避難しています。住民組織「負げねど飯舘」を立ちあげ、村の復興プロジェクトに取り組んでいます。

 避難している村民のネットワークを生かして電話帳を作成したり、共同農園を開設したりするなど、コミュニティーの維持に努めている菅野さんは「百姓の心を失わない生活を維持し、脱原発の思いを共有していきたい」と述べました。

 山口県上関町の氏本長一さんは、瀬戸内海に浮かぶ離島、祝島(いわいじま)で、上関原発の建設反対運動に取り組む農家です。身の丈に合ったくらしと、つながりを大切にする助け合いを追求しながら、自然エネルギー100%自給を目指しています。

 とくに島の伝統神事、神舞(かんまい)は、島民意識をはぐくむのに重要な役割を果たし、それが「海はカネで売らん」という反原発意識に発展している点を指摘。

 被災地の復興支援では、「被災者の受け入れもあるが、最大の支援は、原発を作らせない運動を継続することだ」と述べました。

 2日目は、全体会が行われ、各地の復興・再生活動を交流しました。

 宮崎県の新燃岳噴火から復興をめざす高原町では、再生に向けたまちづくりの一環として、降灰を使った灰干し製法による肉の加工品開発や、紅茶の加工に力を入れています。

 東日本大震災による大津波で漁業が壊滅的打撃をこうむった北海道八雲町の川代義夫町長は、ホタテ貝の養殖施設を海底に固定するブロックが移動してしまったり、ブロックと施設を結ぶロープが切れたりと、被害の深刻さを報告しました。

 町としては、養殖施設の復旧に全力をあげるとともに、被災漁業者に対して、国保税・町民税の減免措置などで支援しています。

 川代町長は「施設が復旧しても、同様の津波が襲えば、再び甚大な被害が予想される。海の潮流、波浪、底質などの条件を加味した復旧事業が必要だ」と課題を述べました。

(新聞「農民」2011.12.19付)
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2011年12月

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