「農民」記事データベース20111219-1002-07

大都市東京で農業始めた

がんばる新規就農者
動機と思い語る


フォーラム

 東京都農業会議とアグリタウン研究会は12月3日、東京都練馬区の武蔵大学で新規就農フォーラム「東京で農業を始める」を開きました。後援は、NPO法人農の未来ネット。

 はじめに2氏が報告。全国新規就農相談センターの五十嵐建夫さんは、1982年から始まった相談件数は2009年で1万件を超え、特定の作物や農法をめざして就農を希望する人や、自分探しのために農家を点々とする人が増える傾向にあると述べました。また、東京農業会議の松澤龍人さんは、東京で新規就農する人のために、農地制度のルールを説明。農業委員会などによる許可や、農地の利用権の設定による就農の方法があることを紹介しました。

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新規就農の喜びを語る(左から)鈴木さん、柳川さん、中川さん、井垣さん夫妻

 討論では、東京で農業を始めた非農家出身の若者たちが、就農への経緯と就農してからの思いを語りました。(以下、発言要旨)

 将来の夢は“農業” 夫妻でともに

 就農2年半の井垣貴洋さん・美穂さん夫妻(露地野菜、瑞穂町) 結婚を機に、将来の夢を話し合い、苦労するかもしれないが、「自然のなかで夫婦でできる仕事が農業」と一致しました。魅力的な部分が多く、無農薬無肥料の自然栽培にこだわっています。

 地味な作業ですが、やりたいという強い気持ちがあればできます。無理なく、自分のできる範囲でやっていきたい。

 舞台役者から転じて東京で就農

 1年半前に東京で就農した中山喜一郎さん(ブルーベリー、あきる野市) もともと舞台役者をしていましたが、高原野菜の収穫のアルバイトに行き、そこで農業もおもしろいと感じました。10年前に埼玉県でブドウ農園を引き継ぎ、2年前に実家のある西多摩地域で農地を探し、東京での農業をスタートさせました。

 悪い農地でも価値があり、そこでできるものもあります。ゆくゆくは農業法人を立ち上げて、ずっと農業を続けたい。お金はあとからついてきます。

 環境問題解決は有機農業だと

 就農1年目の柳川貴嗣さん(露地野菜、青梅市) 就農するまで農業法人で4年半勤務していました。学生時代に環境社会学を専攻し、環境問題を解決できるのは有機農業であり、それを実現できるのは東京が適していると考えていました。

 「農薬・化学肥料不使用」で作られたものだと強くアピールしています。将来は、有機農業をもっと一般的なものにして、地域で有機の社会システムを作りたいと思います。

 子育てしながら自然と触れ合い

 就農1年目の鈴木利喜恵さん(ブルーベリー、瑞穂町) 離婚を機に、子育てしながら独立できる職業を探しました。もともと自然に触れることと園芸が好きで、子どもにとっても、自然に親しみ、新鮮な野菜を食べさせられる農業を選びました。果樹・樹木苗の生産販売会社で1年半、研修を積みました。

 就農する際に多数の相談をしましたが、はじめは女性ということで取り合ってもらえませんでした。東京農業会議が、親身に応じてくれました。

 西多摩地域は酪農が盛んなので、酪農家と加工品の共同開発ができたらと考えています。これから一人で就農しようしている女性は、あきらめずにがんばってほしいと思います。

 最後に、アグリタウン研究会座長で武蔵大学教授の後藤光蔵さんが「食料自給率の向上のために、担い手を増やすことと、農業を周りで支えることがもっと必要だ」とまとめを行いました。

(新聞「農民」2011.12.19付)
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2011年12月

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