埼玉の学校給食パン
アメリカ産小麦から
国産小麦に替わった
運動励まし行政動かした
新聞「農民」が大きな力に
「たいへんおいしかった。埼玉の学校給食の取り組みは、大切でユニークなもの」「国産小麦を奨励したい。補助金を減らすようなことはしない」―これは2003年5月、国会で日本共産党の吉川春子参院議員(当時)の質問に、大蔵大臣が答弁したものです。
それまでの学校給食パンは、すべての都道府県がアメリカ産小麦を使用していたため、マラチオンやスミチオンなど発がん性の農薬が検出され、大きな社会問題になっていました。
私たちは、時代を担う子どもたちの健康を守るためには、国産の安全な小麦粉を使用することが大事だと考え、教職員組合や食健連などといっしょに、農水省や文部科学省と何度も交渉しました。ところが、「あなたたちは国産小麦ではパンが焼けないことを知っているのか」と門前払い! まったく聞く耳を持っていませんでした。
これをなんとか打開しようと考えたのが、県内産の小麦粉で焼いたパンを子どもたちや父母に食べてもらうことでした。さっそく「県内産小麦でパンを焼いてくれませんか」と呼びかけたところ、2軒のパン屋さんが手をあげてくれて、2カ月後には「ふっくらモチモチ甘味のある」パンができたのです。
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“おいしいよ”と元気に食べる児童たち(埼玉・大利根町の小学校) |
これをJR浦和駅と大宮駅で、農民連・食健連の人たちが「安全な県内産小麦で焼いたパンを学校給食に使わせましょう」と訴えながら無料配布しました。その結果、「なぜ農薬の入ったパンを出すのか。県内産小麦を使用すべきだ」「国産小麦でこんなにうまいパンができるのか」など大きな反響を呼び、行政も動かし「さきたまロール」が誕生したのです。
このときの運動を紹介し、励ましたのが新聞「農民」でした。
また、この運動をきっかけに、県と学校給食会が「こんなに埼玉の農産物が学校給食に使われているよ!」というカラーリーフを毎年発行しました。このリーフは、小・中学校生65万人の手を通じて家庭に届けられ、「埼玉に農業は必要だ」という県民合意の力になっています。
(埼玉農民連 松本愼一)
(新聞「農民」2011.12.12付)
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