「農民」記事データベース20111212-1001-10

新聞「農民」に期待する

正しい情報を提供する
メディアとして発展を

埼玉県生協連会長 伊藤恭一さん

 1000号を迎えた新聞「農民」に、各界から祝福の声が寄せられています。埼玉県生活協同組合連合会(埼玉県生協連)会長で、埼玉県消費者団体連絡会(埼玉消団連)代表幹事も務める伊藤恭一さんに、新聞「農民」への期待を語ってもらいました。


 “食べる安心”が消費者の願い

画像 埼玉県生協連は、野田首相がTPP(環太平洋連携協定)交渉に参加方針を表明したことに対し、「極めて残念」とする談話を発表しました。県消団連としては、菅前首相が昨年10月に突如、TPPへの参加方針を表明した直後にも、「反対」の声明を出しました。

 生身の人間である消費者の一番の願いは、“食べる安心”です。それは何よりも、必要な食べ物が食べられるようになること。食料自給率が40%を割ってしまったいま、消費者の願いは、自給率を高めることです。

 TPP推進論者がいう「国益」とは何か。それは、一部の大企業のわずかな利益でしかありません。そのために、これまで培ってきた国民の共有財産を外国資本に売り渡してしまうことにほかなりません。

 長い間、作り上げてきた食の安全行政・システムが破壊されてしまうのです。食の問題にとどまらず、年金、医療、介護の分野も後退してしまいます。とくに、農業と医療は、日本の社会全体で共有する財産です。一部の利益のために売り渡すことは絶対に許されません。

 「TPP」でウソ許せぬマスコミ

 その点で、日本に「開国」をあおり、国民をだましてきたマスコミの責任は大きいものがあります。世論作りで情報を一元化し、国民が訳のわからないまま決めてしまうのですから。本来であれば、日本としてどういう戦略で臨むべきかを定めてから、しっかり議論して決めなければならないのに、そういうことをしないで突っ走る。まさに民主主義のじゅうりんですよ。

 大手マスコミは、戦争参加をあおり、原発神話を振りまいてきた過去を深刻に反省したはずですし、反省すべきです。今また、同じ轍(てつ)を踏むのか、という思いです。

 こうして、マスコミがウソ一辺倒の報道をたれ流すなかで、正しい情報を国民に知らせていくことが何より重要です。国民は正しい情報で判断し、民意を形成していくのです。

 農民・国民の目線に立って

 そういう意味で、大手のメディアに対して、農民・国民の目線に立ったメディアが必要です。新聞「農民」にはその役割が大いに求められています。

 農家のことをメーンにしつつも、あわせて消費者の顔が見え、消費者と一緒になって、「これからの農業をどうしていくのか」を考えること。消費者にもいろいろ判断できるような情報や資料を提供し、充実してほしいと思います。

 今後、国民が正しく判断できるような情報を提供するメディアがますます求められます。新聞「農民」には、そうしたメディアの一つとして、これからも発展してもらいたいですね。

(新聞「農民」2011.12.12付)
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2011年12月

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