農水省食糧部会
12年産米目標
2万トン減の793万トン
“需要より少ないのはどうか”などの疑問も
農水省は11月30日、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会を開き、2012年産主食用米の需要見通しを797万トン(前年産比8万トン減)と想定し、生産数量目標を793万トン(前年産比2万トン減)とする基本指針を了承しました。
基本指針は了承されたものの、出席した委員からは、とくに生産目標793万トンに対して、疑問や意見が出されました。
全国農業協同組合連合会(JA全中)の冨士重夫専務は「今年は、大震災や原発事故など普通の年ではなかった。その点をどう配慮しているのか。需要量より減らしている目標設定は問題だ」と述べました。
食生活ジャーナリストの村松真貴子さんは「自然災害が世界中で起きているとき、生産目標を下げるのは不安。食料自給率のアップのために、米の消費を促す対策を」と不安を表明しました。
日本経団連農政問題委員会の廣瀬博委員長は「毎年1%下げていく実績トレンドから需要見通しを導くやり方は、需要減の現状を追認することになるのではないか。一方で、米の消費を増やす努力をしているわけで、消費拡大の効果がわかるような観点が必要だ」と疑問を語りました。
全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)の木村良理事長は「今年は作況が101となっているが、集荷が悪い。米ができているのか、出荷しないのかよくわからない。放射能問題があるなかで、消費拡大を念頭におくと、汚染の不安のない需給を考える必要がある。検査体制への不安があり、国が安全性を保障しないとだめだ」と指摘しました。
放射能検査の点で、冨士委員も「汚染で出荷制限された米は、国が責任をもって処理すべきだ。暫定基準値の変更で混乱が起きる可能性がある。検査方法の見直しを」と発言しました。
今年から米備蓄が棚上げ方式になり、国は毎年20万トンを買い入れることになっています。しかし11年産の買入数量は7万トンにとどまりました。
冨士委員は「20万トンを買う気があるのか。価格設定も低く、それなりの価格を提示すべきだ」と訴えました。
(新聞「農民」2011.12.12付)
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