「農民」記事データベース20111205-1000-16

売電収入を農業用水の
施設管理費に充当

富山県南砺市


庄川上流用水土地改良区
示野(しめの)発電所

 示野発電所は、1994年、すでに設置されていた取水施設を活用して小水力発電を行う検討が始まり、設計と並行して関係省庁との協議や、水利権の許可申請、土地改良区の理事会・総代会議決などの手順を経て、1997年、「県営かんがい排水事業庄川地区」の事業の一環として建設を開始。1999年から運転を開始しました。

 取水施設内の約8・5メートルの有効落差を利用して、最大550キロワットが発電できる発電所を建設。水利権は、農業用水に完全従属(=本来の水利使用に完全に従属し、流量等に新たな影響を及ぼさない水の使い方のこと)しており、発電後の水は水路に戻されて、かんがい用水として従来どおりに利用されています。

 工事費用は8億8000万円で、発電した電力は北陸電力(株)に1キロワット当たり10円で売電。1年間で約2400万円になる売電収入のうち、800万円を償還し、残金はポンプ経費など農業水利施設の維持・管理に充てられています。離農による組合員の減少や、農家経営の悪化が深刻ななか、農家の賦課金の軽減に大きく役立っています。

 この発電所は住宅地に隣接するため騒音が少なく、枯れ木などのゴミの流入にも対応できる水中タービン方式を採用。世界最大のポンプメーカー、I・T・Tクリフト社(スウェーデン)の発電機を導入しました。

(新聞「農民」2011.12.5付)
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2011年12月

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