「農民」記事データベース20111205-1000-07

表示をわかりやすく
消費者の権利の確保を

食品表示一元化 公開シンポ


画像 NPO法人日本消費者連盟などは11月11日、都内で公開シンポジウム「消費者が考える食品表示の一元化」を開きました。

 新しい表示の確立へ

 日本消費者連盟の富山洋子さんが「消費者が食品表示を見て選ぶのは日常的な行為。安全・安心な食生活が成り立つように、表示をわかりやすくすることが大事。現在の表示制度は、複数の法律があり、規制も整合性がなく複雑なことが問題。生産者、消費者、流通業者が協力し合って、新しい表示制度を確立する第一歩にしましょう」と開会あいさつをしました。

 食の安全・監視市民委員会代表で弁護士の神山美智子さんは、「食品表示の一元化と消費者の権利」について報告。諸外国も食品表示の基本的な法律があり、消費者の「知る権利」の保障が定められていること、表示のあり方は消費者と事業者の参加で決めている点を紹介しました。

 一方、日本のいまの表示制度は、わかりにくく、食品衛生法やJAS法などで、「消費者の知る権利、選択の権利」が保障されていない点を批判しました。

 消費者の目線が大事

 消費者庁の福嶋浩彦長官が、食品表示の一元化に向けた取り組みを報告。消費者庁は今年の9月から「食品表示一元化検討委員会」を開催し、来年6月をめどに報告書をとりまとめる予定です。

 福嶋長官は「検討会」の議論のもようを述べ、「消費者にとってわかりやすい表示方法とは何か、一元化された法体系のもとでの表示事項は何か、について検討が進められている」と報告。今後のあり方について「消費者目線で制度をつくっていくことが大事だ。消費者の権利を保障するような立場で、一元化の議論をしていきたい」と語りました。

 その後の討論で、主婦連合会の山根香織会長は、「検討会」委員としての立場から、議論の内容を報告し、主婦連が60年前の発足当時から、食品表示の問題に取り組んできたことを述べました。

 また、主婦連として、「一元的な法制度にのっとってわかりやすく表示され、監視・執行機能が強化されるべきこと、『食品』の定義にアルコールも入れることが望まれる」と報告しました。

 規制表示の統一化を

 全国農業協同組合連合会の立石幸一さんは「法律で表示が義務化された場合に、業界内での公正な競争につながり、原材料生産者にとっても、需要にもとづいた計画的な生産が可能になる」と語りました。

 光食品株式会社(徳島県上板町)の島田光雅さんは、農産物や農産物加工品については、有機JASの認証を受け、有機JASマークが記載されたものでなければ、「有機」と表示できない問題点を指摘。その一方で、畜産物や畜産物加工品では、有機JASマークがなくても「有機」の表示が可能であるとし、「規制の表示が統一されていない」と批判しました。

 参加者との意見交換の後、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の天笠啓祐代表は「野田内閣は、消費税引き上げをG20で表明し、TPPをAPECで約束するなど、国民の方を向いていないことに怒りを感じる。こうしたもとで、食品表示を消費者の権利を守る表示にするよう運動していくことが必要だ」と閉会あいさつを行いました。

(新聞「農民」2011.12.5付)
ライン

2011年12月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会