「農民」記事データベース20111128-999-09

旬の味


 京都はいま、遅い紅葉を見ようと観光客があふれている。京の台所・錦小路も珠玉つなぎの賑(にぎ)わいだが、もう「錦」はかつての錦ではない▼行くたびごとに新しい店舗が増え、老舗の魚屋さんや乾物屋さんなどの専門店が、逆に間借りしているかのように見える。料亭の料理人だけでなく、以前は京の庶民も師走が近づくと正月準備で錦をのぞいたものだ▼京都の食文化を支える食材がそろってこその「京の台所」だったのに、いまやファッション雑貨の店があり、賑々しい飲食店もある。商店街を維持するには“規制緩和”もやむをえないのか。「京の台所」としての落ち着いた味わいも、その実力も半減している▼これは京都だけのことではない。日本中いたるところで、都市の駅前はIT産業が幅をきかせ、地方ではワンパターンの大型ショッピング店が進出し、どの町からも誇りや個性が消え、いっけん華やかだがつまらない空間になっている▼これで日本がTPPに加盟したら、いよいよどの国かわからなくなる。

(中)

(新聞「農民」2011.11.28付)
ライン

2011年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2011, 農民運動全国連合会