「農民」記事データベース20111128-999-06

市民と築く都市農業

農地いかして
地域コミュニティーつくろう

農の会 現地研究会 in 東京・小平市


画像 「農の会」が11月12日、「落ち葉・生ごみの有効利用〜市民と築く都市農業を学ぶ」をテーマに、東京・小平市で現地研究会を開きました。同研究会は、小平市で生ごみたい肥作りに取り組むNPO法人「小平・環境の会」との共催です。

 小平市では2010年度から生ごみを食物資源と位置づけ、分別収集し、リサイクル(たい肥化)する「食物資源循環モデル事業」が始まっており、2年目の今年は約400世帯が参加しています。小平市ごみ減量対策課の菅家幸樹さんは、「できたたい肥を使った野菜や果物を市民が食べることで、地域の資源循環をめざしたい」と述べ、さらに市内全域への拡大をめざしていることを報告しました。

 小平市内の農家の粕谷英雄さんは、「学習型・体験農園 みのり村」の取り組みを紹介しました。「みのり村」では農家が道具や種や苗、資材など必要なものを用意し、農家の指導で1年を通した野菜作りを体験できます。農園の中心にはビオトープがつくられ、共同作業やイベントで「村民」同士の交流の輪ができるなど、「農を生かした地域振興、地域コミュニティーの活性化をしたい」と報告。都市農業には市民に農業の素晴らしさを伝える大きな可能性があること、また生ごみたい肥の活用は農を通した地域のつながりを作るうえで大きな力となることを、生き生きと語りました。

 小平市の農業振興に協力してきた東京農工大学名誉教授の淵野雄二郎さんが基調講演し、都市農業が果たす多面的機能や、農地をいかしたまちづくりについて語りました。淵野さんはTPPの弊害についても詳しく紹介。「TPPの悪影響はまさしく“政策的災害”といえるもので、今こそ消費者と生産者が連携して食料の安全・安心を支える関係を太く、広く発展させていくことが必要。都市農業はその象徴的存在だ」と訴えました。

 「小平・環境の会」の馬場悦子さんは、「私はまったくの消費者で、ごみを減量したいという問題意識だけでたい肥化の活動を始めたが、そのなかで地域の農家と出会い、農業の大切さを知った。小平で安心して暮らし続けるには、食べ物を作る農業は本当に大切だ。農業を守るために、地域づくり全体を考えて取り組んでいきたい」と、発言しました。

(新聞「農民」2011.11.28付)
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2011年11月

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