“都市農業は必要だ!”
住民と消費者が理解しあって
東京農民連講演会
東京農民連は11月5日、清瀬市内で講演会「TPP参加許すな 都市農業は必要!」を開き、生産者、消費者、地方議員ら112人が参加しました。
東京農民連の田中山五郎会長が「都市農業の振興を、多くの農家に参加してもらうような運動にしよう」と主催者あいさつ。農民連本部の齋藤敏之常任委員が、都市農業振興と相いれないTPPの問題点を述べました。
武蔵大学の後藤光蔵教授が「都市と支え合う都市農業の構築」と題して講演し、防災、環境維持、食料の供給などの多面的機能が都市農業の特徴であり、「それが農業への理解を深めるために必要なことだ」と強調しました。
また、都市そのものが、もの(物的環境、自然環境)、ひと(家族、地域集団)、こと(諸活動)から成り立ち、これらを支える都市農業はまさに「いのちとくらしを支える役割をもっている」と述べました。
後藤教授はさらに、「都市農業・農地の保全といっそうの展開のためには何が必要か」と問題提起。いままで築き上げてきた都市農業・農地に対する理解を深める必要性を語り、「法律・制度や税制を整備し、さらに推進する方向性が求められる。加えて、都市住民のさらなる理解が必要だ」と指摘しました。
最後に、都市の農業者は、住民の期待に応える農業のやり方が求められ、都市住民も、農のあるまちに住む生活のあり方を自ら考えるよう呼びかけました。
安全・安心求め市民と結び農業
2人の都市農業者が報告。東京農民連副会長の小寺理一さん(清瀬市)ははじめに、清瀬市農業の現状を説明。農家人口と農地面積とも年々減少し、高齢化も進行している実態を述べる一方、ホウレンソウやニンジン、サトイモなどの作付面積は都内第1位で、都の主要農産物としての位置づけも高まっていると述べました。
小寺さんは「厳しい環境にあるが、消費者に安全・安心で、おいしい農産物を提供する生産活動を通じて、市民と共存し、さまざまな形で農業と触れ合う場を設けることにより、農業への理解を深めてもらい、市民生活と結びついた農業をこれからも続けていきたい」と抱負を語りました。
地域と共生図り農業体験を実践
練馬区の白石好孝さんは、安定した収入の確保、労働の効率化、市民のニーズに応え、地域との共生をはかる農業体験農園の実践をしています。これは、自らの農業経営として、市民に、作付計画の作成や種苗・肥料の準備、種まきや施肥、収穫を指導するものです。都市住民に農業を伝え、新規就農者の創出にもつながることを紹介し、もうひとつの役割として、「イベントなどを通じ、地域とのふれあいも実施できる」と述べました。
体験農園に取り組んだ多くの農園主は「多くの人たちと交流できて楽しい」とアンケートに答えている点を強調し、「多くの都市農業者に参加してほしい」と呼びかけました。
質疑応答では、「都市農業振興のために行政がもっと関与すべきだ」「地域の連携を進めるためにも、生ごみのたい肥化の取り組みがもっと必要だ」などの提案や、「高すぎる相続税や固定資産税が、都市農業の妨げになっている」などの問題点が出されました。
(新聞「農民」2011.11.28付)
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