「農民」記事データベース20111128-999-02

京都農協の労組つぶしは不当

労組側が二審も全面勝訴

東京高裁判決

関連/免税軽油 存続せよ


 東京高裁が11月17日、広域合併にともなって労働組合つぶしを行ってきた京都農協の不当労働行為を断罪する判決を言い渡し、労働組合側が全面勝訴しました。

 中川泰宏会長(元衆院議員)をはじめとする京都農協の経営者は2005年4月、京都丹後農協を吸収合併するにあたって、「労働組合員は受け入れできない」と管理職が組合員に脱退勧奨をするなど、組織的に労働組合の切り崩し攻撃を行いました。これに対し農協労組は「不当労働行為だ」と京都府労働委員会(地労委)に救済申し立てを行い、07年4月、地労委は農協労組の申し立てを全面的に認める命令を出しました。

 しかし京都農協はこの命令を不服として、中央労働委員会(中労委)に再審査を請求。しかし中労委でも労働組合側の勝利命令が出されたため、今度は東京地裁に提訴しましたが、東京地裁も京都農協の訴えを棄却しました。ところが京都農協は東京高裁にも控訴したのです。しかし今回、東京高裁でも一審の東京地裁判決を支持し、京都農協の請求を棄却する判決を出しました。

 自ら京都丹後農協に乗り込んで、労組つぶしの先頭に立っている中川会長は、京都府農協中央会の会長も務めていますが、全国の農協がこぞってTPP反対の声を上げているなかでTPPに賛成の論陣を張るなど、反動的な姿勢は“筋金入り”の人物です。労組つぶしのきっかけとなった農協の大合併問題では「京都府単一JA構想」をぶち上げ、支所の廃止、職員の3分の1削減、赤字部門・施設の廃止なども強引に進め、農協組合員からは「農協が消えた」という声が出される事態に立ち至っています。労組つぶしは、こうした農家切り捨て、農協組合員無視の経営姿勢と一体となって進められてきたのです。

判決前々日、労組委員長解雇

撤回のたたかいに全力

画像 しかも京都農協は、東京高裁の判決日の前々日(11月15日)、通常であれば口頭注意もしくは減給程度の業務上の不備を口実に、京都農協労組委員長の石岡則弘氏に「解雇」を通知してきました。

 京都府農協労組の西山良男執行委員長は勝利判決後の報告会で、「この解雇は、たたかう委員長を職場から排除することを狙った卑劣な攻撃であり、不当な解雇だ。今後も組合つぶしに対するたたかいとあわせて、石岡委員長の不当解雇を撤回させるたたかいに全力をあげる。引き続き、ご支援をお願いします」と訴えました。


免税軽油 存続せよ

全漁連・1500人

決起集会開き国会向けデモ

画像 全国漁業協同組合連合会(全漁連)は11月9日、来年3月で期限切れとなる軽油引取税の免税措置を恒久化するよう求めて、約1500人が参加して全国漁業代表者総決起集会を開き、国会に向けデモ行進しました。

 主催者あいさつした全漁連の服部郁弘会長は「軽油は多くの沿岸漁民が使用しており、制度が廃止されれば、1リットルあたり32円10銭の軽油引取税が課税され、全国ベースで130億円以上ものコストが上昇する。また、A重油の石油石炭税の免税・還付措置が打ち切られると25億円のコスト高になる。これらの措置が打ち切られれば、廃業に追い込まれることになり、到底受け入れられない」と、制度の恒久化を求めました。

 また、宮城県漁協のカキ部会副部長の渡辺茂さんは「震災でわずかに残ったカキを、みんなで話し合いながら出荷していこうとしている時に、燃油コストが増えれば、被災した漁民にはやめろというに等しい」と訴えました。

 全漁連によると、沿岸イカ釣り漁業者の現在の年間所得は140万円で、制度の廃止によって燃油コストがあらたに62万円の負担になり、年間所得は78万円に減収すると試算しています。

(新聞「農民」2011.11.28付)
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2011年11月

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