「農民」記事データベース20111128-999-01

TPP参加阻止

たたかいはこれから

関連/交渉参加抗議の緊急集会


野田首相の
本音隠しのごまかし許せぬ

 野田首相は、アメリカ・ハワイで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、アメリカのオバマ大統領と会談し、TPP(環太平洋連携協定)の交渉に参加する方針を伝えました。

 この会談後、アメリカ側は「野田首相が『すべての物品およびサービスを交渉のテーブルに載せる』と発言した」と発表。日本側は打ち消しに躍起ですが、首相がオバマ大統領に実施を約束した「包括的経済連携基本方針」(昨年11月)には、関税・非関税措置の全面撤廃が明記されており、「言っていない」といっても通用しません。

 現に野田首相は、国会で追及されても「米を例外品目にする」とは明言できませんでした。農業大国のアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドに加え、新たに参加を表明したカナダも関税撤廃による農産物の輸出拡大を狙っています。

 また鹿野農水大臣は、野田首相の参加表明に対して「交渉参加を前提とするものではない」などと詭弁(きべん)を弄(ろう)していますが、野田首相の本音はTPP参加推進であり、こうしたごまかしは二重の「二枚舌」というべきものです。

 すでにアメリカ側は、輸入牛肉の月齢制限を撤廃することや、自動車市場の開放、郵政の優遇措置見直しを求めてきています。アメリカ政府や議会との事前協議の場は、「日本がアメリカの要求を受け入れなければ参加を認めない」という、まさにアメリカの要求を丸のみする危険をはらんでいます。


野田首相のおひざ元・船橋(千葉)で

交渉参加抗議の緊急集会

 野田首相がTPP交渉へ参加を表明してから2日後の11月13日、首相の地元、千葉県船橋市の薬円台公園で参加表明に抗議する緊急県民集会が行われ、700人以上が参加しました。農民連も100人以上が集い、集会のもようは、その日夜のテレビニュースでも放映されるなど、大きな注目を浴びました。

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「野田首相の地元で千葉県民が総反撃しよう」と訴える大木伝一郎実行委員長(中央)。後ろには、直訴状を持った佐倉宗五郎も

 佐倉宗五郎が直訴状

 主催は、緊急県民集会実行委員会。実行委員長の大木伝一郎・県農民連会長は「野田首相がTPPへの参加に向けて、暴走を始めた。千葉出身の首相が、国民に対して総攻撃をかけている。われわれ千葉県民が先頭にたって総反撃しよう」と述べ、TPP正式参加を阻止するための総決起を訴えました。

 大木会長の周りには、江戸時代、悪税に苦しむ農民を救うため将軍に直訴した佐倉藩の義民で、林縫右衛門さん(佐原農民組合会員)がふんする佐倉宗五郎もよみがえり、野田首相への直訴状を持った五人娘とともに登壇しました。

 日本共産党の紙智子参院議員が「野田内閣が参加に向けた手続きを進めれば進めるほど、国民との矛盾は拡大して、大きな抗議の声が広がる。たたかいはこれから」と激励しました。

暴走に反対の輪ひろげ
総反撃の先頭に立とう

 追い詰められている

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の坂口正明事務局長が情勢報告。これまでにない広範な運動を展開してきた経緯を語り、「いま追い詰められているのは野田内閣。このチャンスを生かさない手はない。これまでの連携を確認し、運動の輪をさらに広げよう」と呼びかけました。

 各団体からは「誰でも受けられる医療をめざす私たちは、医療に差別を持ちこむTPPには絶対に反対」(県民主医療機関連合会)、「公共工事の発注すべてが外国に開放され、建設労働に外国企業が参入するTPPは許せない」(千葉土建一般労働組合)などの発言がありました。

 また、新日本婦人の会県本部の代表は「今でも低い食料自給率がさらに下がったら、子どもたちは何を食べたらいいのでしょうか。農薬、添加物、遺伝子組み換え食品は食べさせたくない。TPPより震災復興と子どもたちの未来を優先してほしい。自由貿易でばく大な利益をあげるのは1%だけ。私たちは残りの99%。TPPをノックアウトするまでがんばりましょう」と訴え、大きな拍手を浴びました。

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「TPP参加は断固阻止!」とヤギも先頭にデモ行進

 野田事務所に要請文

 当面の行動として、「職場・地域で学習を旺盛に進め、それぞれの地域で、JA、漁協、森林組合、消費者団体などとの共同・連帯の輪を広げよう」との呼びかけがありました。

 参加者は、集会アピールを採択した後、市内をデモ行進しました。また、要請文を野田首相の地元事務所に届けました。

(新聞「農民」2011.11.28付)
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2011年11月

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