原木の不足量は1.4万立方メートル(全国)
国と県で原木供給を橋渡し
農水省 きのこ原木需給の連絡会議を開催
原発事故があった福島県は、全国に流通するシイタケ原木の54%(2009年)を生産していますが、放射能汚染により、シイタケを含む、きのこ原木の不足が心配されています。農水省は11月4日、「きのこ原木需給情報全国連絡会議」を開き、各都道府県や関係団体などから担当者が出席しました。
はじめに、林野庁から、きのこ原木の需給状況について報告があり、きのこ原木の不足量は全国ベースで約1・4万立方メートルとなり、これは全国のきのこ原木の需要量54・2万立方メートルの2%程度になることが述べられました。
さらに、林野庁が各都道府県に、きのこ用原木の供給希望量と供給可能量とを聞きとったところ、秋田県が15万本(1650立方メートル)、島根県が27万2727本(3000立方メートル)など、いくつかの県からの供給が可能であることがわかりました。
参加者からは「除染も効果がなく、生産者は危機的な状況。冬を越せるか心配だ。対策を早く」(福島)、「シイタケの供給量が昨年比で5〜6割。消費者のシイタケ離れが進んでいる」(生協)などの意見が出されました。
林野庁は、安全なきのこ原木の安定供給に向けた取り組みとして、(1)林野庁と都道府県との間で、きのこ原木の不足量、供給可能量など、きのこ原木の需給状況について、情報を共有する(2)各都道府県が窓口となって、「原木の供給を求める原木きのこ生産者」と「原木の供給が可能な生産者等」を橋渡しする―ことを発表しました。
農民連が林野庁から聞き取り
“風評被害が心配”“早く対策を”
「きのこ原木需給情報全国連絡会議」の開催に伴い、農民連は11月10日、農水省で、きのこ原木の需給状況について、林野庁から聞き取りを行いました。農民連本部のほか、大阪、和歌山、茨城から事務局と生産者、日本販売農業協同組合連合会が参加。林野庁からは、林政部の富岡弘一郎課長補佐が対応しました。
出席者からは「一番心配しているのが風評被害。汚染された原木がある限り、風評被害は払しょくできない」「原木の入手が困難なのは大きな課題。早く対策を」「基準値である150ベクレル以下でも、少しでも放射能がでれば売れない」などの切実な訴えが出されました。
また、「生産者は厳しい経営状況が続いており、資金のやり繰りに苦しんでいる。融資を受ける要件を緩和してほしい」「近畿は風評被害の対象になっていないが、汚染された原木が出ている以上、対象にするべきだ。農水省は、東電をしっかり指導してほしい」との提案もありました。
林野庁の富岡課長補佐は「みなさんの意見を重く受け止めたい。情報を共有してがんばっていきたい」と述べました。
(新聞「農民」2011.11.21付)
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