再生可能エネルギー推進
大震災復興と一体的に
公害地球懇など政府交渉
関連/農村で発電 地域再生に
公害地球懇(公害・地球環境問題懇談会)、公害弁連(全国公害弁護士連絡会議)、全国公害被害者総行動実行委員会は10月27日、内閣府、経済産業省、環境省を訪れ、「震災復興とエネルギーシフト(注1)を促進するための要請」を行いました。
農民連も参加する公害地球懇は、東日本大震災・福島第一原発事故以前から原発依存のエネルギー・環境政策の転換を求める運動に取り組んできており、昨年は原発と自然エネルギーをテーマにシンポジウムを2回開催してきました。
この要請では、(1)野田新内閣として、脱原発の政策を明確に打ち出すこと、(2)震災復興とエネルギーシフトを一体的に推進すること、(3)「再生可能エネルギー特措法(注2)」が再生可能エネルギーの普及に実効性あるものとなるよう、買い取り価格や期間を設定すること、など8項目を3省庁に要請。さらに経産省には、発電会社と送電会社、配電会社を分離することや、再生可能エネルギーの促進によって中小企業や地場産業を育成すること、などを具体的に要求しました。
導入のための調査実施、
財政的・人的支援ぜひ
交渉のなかで参加者から多くあがったのは、地域に合った自然エネルギーを導入するための調査費用や、導入のノウハウ提供などの支援を求める意見です。「市民が再生可能エネルギーを活用したいと思っても、実際には何から手を付けてよいのかわからない。地域にアドバイザーをもっとたくさん養成してほしい」「太陽光発電がいいのか、それとも風力がいいのかなど、自然エネルギーの導入には、地域の自然資源を調査しなければならないが、市民団体や小さな自治体では費用がかかりすぎる。ぜひ国が財政的にも、人的にも支援を強めてほしい」と要望しました。
環境省は、こうした地域での取り組みへの国の支援策は全国でも7件分の予算枠しかないこと、またその7件の枠に対して10倍近い申請数があったことを紹介。「財政難だが、来年はあと5〜6件は増やしたい」と回答しました。
注1 エネルギーシフト 資源に限りがある化石燃料や原子力による発電から、再生可能エネルギーを中心とした持続可能なエネルギーへの転換をめざす考え方。またその実践。
注2 再生可能エネルギー特措法 電力会社に一定割合で再生可能エネルギーの導入を義務づけ、再生可能エネルギーの普及促進を図る制度。来年7月から施行される。しかし肝心の買い取り価格や買い取りの義務付け期間、電力会社が全量を買い取る義務などは未定となっている。
京都農民連
立命館大・渡邊氏講師に 考えるつどい
農民組合京都府連は10月26日、綾部市で「農村で発電を考えるつどい」を開き、平日の午後からでしたが、約50人が参加。これまで放射能汚染に関する講演はたびたび開かれましたが、自然エネルギー再生の話を聞くのは「はじめて」という人が多く、2時間半で休憩なしの「つどい」はあっという間に終わりました。
講師は農学博士で立命館大学講師の渡邊信夫さん。「農村は自然エネルギーの宝庫」「電気代は払うものでなく、電力を売ってお金をもらうもの」「農村発電は地域の再生にもつながる」などの話に、参加者は目からうろこが落ちたようでした。
渡邉さんは、京都農業会議に勤めていたころから地域おこしで京都府内を駆け回り、いまは再生可能エネルギー調査で全国を駆け回っています。すでに地域でさまざまな潜在力エネルギーの調査が行われ、実際に発電に着手しているケースも紹介されました。
ソフトバンクなど発電事業に動き出した企業もあり、地域からのエネルギーの地産地消の担い手づくりが待たれています。食糧もエネルギーも同じだということがわかり、農民運動のあらたな課題にもしていかなければ、と思いました。
(京都農民連 安田政教)
(新聞「農民」2011.11.14付)
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