「農民」記事データベース20111107-996-10

菊間町の加茂神社

「お供馬の走り込み」の脇で
「継ぎ獅子」も披露

愛媛・今治


人の肩の上で人が舞う

画像 愛媛県今治市菊間町の加茂神社で10月16日、五穀豊穣(ほうじょう)、家内安全を願って600年以上前から続いている「お供馬の走り込み」が行われました。着飾った馬に乗った武者姿の小中学生が加茂神社の約300メートルの参道を駆け抜ける行事が有名ですが、走り込みの横では池原獅子若連中による「継ぎ獅子」も披露されます。

 菊間祭りは愛媛県内では北限の「菊間牛鬼」と南限の「継ぎ獅子」など数多くの御輿(みこし)が参加し、たいへんにぎやかな祭りです。「牛鬼」と「継ぎ獅子」の両方が祭りに参加するのは県内では菊間町だけで、市内各地に伝承される「継ぎ獅子」は、人の肩の上に人が立って獅子舞を舞うという、全国でもあまり例を見ない獅子舞で、愛媛県の無形民俗文化財に指定されています。

 江戸時代、今治に巡業で来ていた御師(おし)集団が神社に奉納した伊勢の神楽がルーツとされています。伊勢の「継ぎ獅子」は「二継ぎ」までしかありませんでしたが、今治に伝わってからは天におられる神様に少しでも近づきたいという思いに加えて、稲が天にまで伸びるほど五穀豊穣を祈願するという意味や、氏子たちの結束を示す意味から「三継ぎ」「四継ぎ」へと発展しました。心が一つにならなければ崩れてしまう「継ぎ獅子」の頂点には「獅子子」と呼ばれる子どもがあがり、扇子や鈴を持ち、舞います。

 今は20数団体が保存会として受け継ぎ、「二継ぎ」から「五継ぎ」まであり、 かつては 「六継ぎ」までありました。地区ごとに太鼓のリズムや衣装が少しずつ違っていますが、今までにケガをした人はいないそうです。

 今年は御旅所祭典が終わってから農協マーケットの駐車場に御輿7体、だんじり1体、町内3地区の獅子若連中が集結。約1500人の観客が見守るなか、御輿のかき比べ、「二継ぎ」と「三継ぎ」の獅子を披露し、おおいに盛り上がりました。

(愛媛・今治市菊間農民組合 大道法幸)

(新聞「農民」2011.11.7付)
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2011年11月

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