本の紹介
暉峻衆三著
日本資本主義の食と農
食や農を深く理解したい
若い人にもってこいの本
本書は、「現状を知るにはその歴史を正しく理解することが必要だ。それによって、打開の方向もより正しく理解できるようになる」という問題提起から始まります。そこで、日本の食と農が抱える問題、特に食料安全保障を柱に、日本資本主義経済が戦後たどった歴史と関連させて考えていこうと、著者の暉峻(てるおか)さんはそのねらいを述べています。
そして、食料安全保障が国民に確保されているのか、されていないとすればなぜか、日本の今後の進路とかかわってどうすればいいのか、アメリカの食料戦略も視野に入れながら考察しています。
戦後は大きく2つに分けられています。「第一の時期」は、戦後日本が歩みだし、復旧と復興、急成長をとげていった時期。「第二の時期」は、新自由主義が世界的に強まるなか、多国籍企業を軸に資本主義のグローバル化が急進展する時期です。
暉峻さんは、戦後農政を分析するにあたって、その根底にすえて重視したこととして、憲法9条(戦争の放棄)と25条(国民の生存権と国の社会保障義務)をあげ、日米関係がいかに重要な意味を持っているかということも警告しています。
最後に暉峻さんは、「食や農にあまり関心のない方、大学や職場の若い方が、この本を読んで理解を深める一助になれば」と期待を寄せています。ぜひ、ご一読ください。
▼定価 750円+税
▼筑波書房 TEL 03(3267)8599
(新聞「農民」2011.11.7付)
|