賠償請求運動の中で
最高の農民連会員数に
福島県北農民連
福島県ではいま、福島第一原発の事故後、初めてとなる実りの秋を迎えています。厳しい風評被害に苦しみ、農家の胸中には「収穫を喜べない」という沈痛な思いも去来するなかで、「オレも農民連に入って、ともにたたかいたい」と、農民連に加入する生産者が相次いでいます。「史上最高の会員数を更新中」という福島県北農民連は、ともにたたかう仲間をふやそうと奮闘中です。
請求運動は“原発なくせ”に
つながる重要な運動だ
怒りに応えるのは農民連しかない
「農民連に入ったのは、きちんと賠償請求をしたいというのもありますが、お金の問題だけではないんです。それ以上に原発事故は“命のもとをつくる”という農業の喜びを根底から壊した、この怒りに応えてくれるのは農民連しかないと思ったのです」――こう話す果樹・水稲農家の赤井久好さんは、ごく最近、農民連に加入したばかりです。赤井さんは仲間の生産者と出荷組合を結成し、その組合長を務めるなど、地域でも多くの要職を担っています。
出荷組合に招かれ、県北農民連事務局長の服部崇さんと、福島県農民連事務局長の根本敬さんが出向いて説明会を開催しました。「農民連の賠償請求運動は、ただ“金を取る”のではない。“原発なくせ”につながる運動の一環だというのが重要だ。ぜひ一緒にやろう」との2人の熱い思いあふれる訴えに応えて、赤井さんのほかに4人が農民連に加入しました。
赤井さんは言います。「30年以上、誇りを持って農業をしてきましたが、こんなに情けない、つらい思いで米作りをしたのは初めてです。原発はもうたくさんです。広島・長崎の被爆者が被ばくの惨状を語って“ノーモア被爆者”の声を広げたように、私も福島のこの苦しみを農民連を通して訴えていきたいと思っています」
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東電への損害請求行動には多くの農家が参加(福島市、8月31日) |
農家訪問、説明会地域で注目、信頼も
「これまでの農民連の運動と成果が、地域でも注目され、信頼を集め始めている。新しい会員が別の人に農民連を紹介してくれたりして、たたかう仲間がどんどん増えている」と力強く話すのは、農家訪問や、集落などでの説明会を開いて、農民連への入会を呼びかける先頭に立っている服部さんです。
県北農民連は原発事故の発生直後から、賠償請求と原発ゼロを求める運動に全力で取り組んできました。賠償請求書をとりまとめて東電に突き付け、不誠実な対応で支払いを引き延ばす東電を追及し、実際に仮払いさせるまでこぎつけ…と、手探りで、しかし強い信念で運動し、賠償を勝ち取ってきました。
“東電は許せない”
ぜひ農民連と一緒に抗議行動に参加したい
「東電は今すぐ賠償しろ!」と大書きした横断幕を掲げて取り組まれた東電への抗議行動は、テレビや新聞などでも報道され、大きな反響を呼び起こしています。「報道後、説明会の要請や問い合わせの電話が、ドンドン寄せられているんスよ!」と、服部さんの声も明るく弾んでいます。
「福島の生産者はみんな、東電に対して本当に許せないと強い怒りをもっています。だからJAの賠償請求のように委任状で全部お任せでなく、抗議行動にも参加して一緒に運動していきたいという要求が強いんです。たたかう仲間が増えて、古い会員も励まされています」と、服部さん。
賠償請求で入った会員でも、さっそく産直にナシを出荷したり、来年の申告に向けて「税金ノート」を取り寄せたりと、農民連ならではの取り組みも始まっています。
「困難な今こそ、農民連の出番。もっともっと仲間を増やして、たたかい抜きたい」
(新聞「農民」2011.10.17付)
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