「農民」記事データベース20111010-992-04

税金豆知識

損害を受けたときの税金の取り扱い

関連/日販連と農民連の役員が懇談

 今年は東日本大震災だけでなく、台風被害などが全国いたるところで発生しました。災害で損害を受けた時に必要な税金対策をお知らせします。


 (A)風水害などによる被害を受けた場合

 (1)風水害による被害で収穫した野菜が流失、(2)コンバインが冠水(分解掃除が必要)、(3)住居が浸水(たたみ、ふすま、家具が被害)した場合は、農業にかかる部分の被害については、農業所得の必要経費になります。

 (1)は、損害額が農業所得の必要経費に算入できます。(2)は、事業用資産の原状復帰のための費用は必要経費に算入されます。(3)は、農業所得の経費にはなりませんが、下の表のように、「災害減免」または「雑損控除」のどちらか有利な方を適用することができます。

 (B)損害賠償金を受け取った場合

 風水害や事故などで損害賠償金や補償金、慰謝料などをもらった時は、その性格に応じて非課税、または農業所得の収入金額に計上することになります。

 次の3点は原則非課税です。(1)心身に加えられた損害につき、支払いを受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して業務に従事できなかったことによる給与や収益の補償として受け取るもの)、(2)不法行為その他突発的事故により資産に加えられた損害につき、支払いを受ける損害賠償金、(3)心身または資産に加えられた損害につき、支払いを受ける相当な見舞金。

 ただし、次のように不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得にかかる収入金額に代わる性質のものは、これらの所得にかかる収入金額とされます。

 a.棚卸資産、棚卸資産に準ずる資産について、損失を受けたことにより取得する保険金、損害賠償金、見舞金。

 b.業務の全部または一部の休止、転換、または廃止その他の事由により、その業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの。

(農民連税金対策部)


災害減免 所得金額が1,000万円以下の納税者が、災害によって住宅や家財に時価の2分の1以上の損失があった場合、所得金額に応じて所得税が減免されます。
所得が500万円以下の場合所得税の全額免除
所得が500万円を超え750万円以下の場合所得税の2分の1軽減
所得が750万円を超え1,000万円以下の場合所得税の4分の1軽減
※「損失額の明細書」を申告書に添付する必要があります。
 
雑損控除 災害・盗難・横領によって生活に通常必要な資産(棚卸資産や事業用の固定資産、山林、生活に通常必要でない資産は除かれます)について損失があったときに、次の[A][B]のいずれか多い方の金額を控除することができます。
[A]「損害金額」-「保険金などで補てんされる金額」-「所得金額の10分の1」
[B]「災害関連支出額」−「保険などで補てんされる金額」−5万円
※災害関連支出とは、災害により滅失した住宅・家財を除去するための費用などです。
※災害等のためやむを得ず支払った領収書を申告書に添付するか申告時に提示する必要があります。
※損失額が控除しきれない場合は、3年間繰り越すことができます。


震災復興支援 原発事故損害賠償請求 TPP

日販連と農民連の役員が懇談

 農民連に団体加盟している日販連(日本販売農業協同組合連合会)と農民連の役員は9月26日、東京・新宿農協会館で、大震災の復興支援や原発事故による損害賠償請求、TPPと米をめぐる情勢や課題などについて、懇談しました。

 新しく日販連の会長になった矢崎和廣さん(大分・下郷農協組合長)は、「農民連が先頭にたって農水省や東京電力に精力的な要求・抗議行動を行っていることに対し、敬意を表したい。また、いっしょに参加できることを誇りに思う。TPP参加、放射能汚染、賠償請求など、これからの秋のたたかいに向けて、忌憚(きたん)のない意見交換を行いたい」とあいさつ。農民連の白石淳一会長は「今後のたたかいに向けて、協同組合の果たす役割はたいへん大きい。今日を機会に、みなさんといっしょに取り組みをさらに強めていきたい」と述べました。

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あいさつする日販連会長の矢崎さん(中央)

 参加した役員からは「有機の生産地として長年取り組んできたが、放射能汚染と風評被害で大きな打撃を受けている。こういう時だからこそ、例年より高く米を買い上げるなど農協が生産者を励ましていきたい」「賠償請求運動から一歩踏み込んで、除染対策やどこで何を生産していくのかなど、今後のプランを示していく必要があるのではないか」「大震災から半年たって、生活はなんとか落ち着いてきたが、生業の再建はまだまだで、事業のダメージは回復していない。どう復興していくかが課題だ」「原発依存から脱却して自然再生エネルギーに転換することは、農村や農業再生にとって重要だ」など、活発な意見交換が行われました。

 そして、今後も力を合わせて運動を強めることを確認しました。

(新聞「農民」2011.10.10付)
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2011年10月

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